現代アートイルミネーション2020

現代アートのフィレンツェのクリスマスツリーを見に。

フィレンツェと言えば芸術を保護したルネサンスの町だが、今も変わらず芸術を推進していることの証として、フィレンツェの現代アート美術館ノヴェチェント(900年代美術館)による、昨年生まれたThree artist treesプロジェクトがあげられる。フィレンツェの3つの広場に、現代芸術家3人のクリスマスツリーを設置する企画である。 フィレンツェのクリスマスツリー 1)サント・スピリト広場には、ミンモ・パラディーノ作のツリー。 ミンモ・パラディーノはトランスアバンギャルド派の芸術家。トランス=超える、アバンギャルド=前衛で、前衛芸術を超えたものだそうだ。前衛芸術とはコンセプチュアルアート、コンセプト・アイデアが重要視される、アンディ・ウィーホールを先駆者の一人とした芸術運動だ。それを超えるわけだから、アイデアを超えて感情、特に喜びを表現する芸術だそうだ。 もうようわからーん!なのだが、とにかくパラディーノのツリーの数字はトンボラを表している。トンボラとは18世紀のナポリで生まれたビンゴに似た数字当てゲームで、イタリアでクリスマス休暇の夕食後に行う家族団欒を象徴する定番ゲームである。数字ゲームであるトンボラに家族が集まり生まれるコミュニケーションと、カレンダーは数字から成り立ち人生を表す、そんな想いが込められたツリーである。 ヴィンチ村 これは、ミンモ・パラディーノがデザインしたレオナルドの故郷ヴィンチ村の広場。ミミズが這ったような線が彼の特徴らしい。(おいおい、失礼な!) ミケランジェロ・ピストレット作ツリー 2)ミケランジェロ・ピストレット作ツリーは、ジーノ・バルタリ広場。 これは昨年、共和国広場に設置された時の写真で、今年はこのツリーは中心地から少し離れた広場にある。この無限大に似た3つの丸は、アーティストが2003年から自身のシンボルとして使用しており「第三天国」と呼んでいるものである。両側の丸は、一方は自然を、もう一方は人工を表し、真ん中の丸は両側のコンセプトを融合し再生させることを意味しているそうだ。 ぼろきれのヴィーナス ミケランジェロ・ピストレットの代表作の一つ「ぼろきれのヴィーナス」。2013年には高松宮殿下記念世界文化賞を受賞している。 前と後ろ 過去と現在、二次元と三次元が交錯する表現が彼の作風らしいが、フィレンツェにも「前と後ろ」というピストレットの作品があり、過去も素晴らしいけど前進している現在もあるというような意味らしい。 ドメニコ・ビアンキ作のツリー 3)ドメニコ・ビアンキ作のツリーは、今年はサンタ・マリア・ノヴェッラ広場に。 ドメニコ・ビアンキ ドメニコ・ビアンキの作品は、ミニマルな抽象美術。背景は一色で、なんらかの形で光を通す(ガラス樹脂など内在的でも可)素材を使用し、中心に流れを表現した抽象シンボルが描かれる。なるほど、彼らしいデザインのツリーである。繰り返しと流れで動きを生むデザインは宇宙を、そしてその内部からもれる光、全ては調和を表す。 光は生命を表しているのだろうか?わかるようなわからんような、でも力を感じるツリーである。私が見たときは設置完了したばかりで光が灯されていなかったのが残念だが、3つともコンセプトはそれぞれに面白いが形的には一番好きかも。 マルコ・ロドラによるプレゼーピオ 今年はウフィッツィ美術館に、マルコ・ロドラによるプレゼーピオ・ポップが登場。 「現在、美術館は閉館状態だが、希望の光は忘れずに。キリストの誕生は光溢れる出来事であるし、光の芸術家であるマルコ・ロドラはまさにぴったりだ。」こんな気持ちが込められたプレゼーピオなのだ。 デビッド・ボゥイ デビッド・ボゥイまで!伝統的なドゥオモ前のプレゼーピオとポップなプレゼーピオ、いずれも素敵である。お亡くなりになったデビッド・ボゥイが天使になり、こんな姿で空を飛んでたらなぁ。Can you hear me, David? フィレンツェのクリスマスイルミネーション2020年の動画です。ドゥオモ前のプレゼーピオも写っています。よろしければ、ご覧ください。

この記事をシェアする

Facebook
Twitter
Pinterest

関連記事