フィレンツェの記憶の森と呼ばれる場所。
(レ・リプッブリカ紙より)
2020年末、「記憶の森」という名の公園がフィレンツェに生まれた。
フィレンツェ北部にある既存のドン・フォルコーニ公園の一部に加わる形で、コロナ犠牲者となった525名を偲んで525本のオリーブと糸杉を植えた場所が「記憶の森」と名付けられた。2日前に、まず最初の210本が植えられた。
公園の入り口に設置されたパネルのQRコードをスキャンすると、チェロをBGMに説明を読むことができるそうだ。
コロナでロックダウンになった春先、そして夏が終わる頃はまだ「教科書に記述される出来事だね〜」ぐらいに呑気に構えていたが、1年を終えて、地味なものとはいえ残すべき記憶として記念物ができたと言うことは、やはり非常な1年であったのだと改めて痛感する。
今年、欧州の30市と「グリーンシティ協定」を結んだフィレンツェは、数年前から恐ろしい勢いで緑化に励んでいる。もちろん緑・花が街に増えることで環境が改善されるのは嬉しいことだが、数年前の美的感覚ゼロで異常なほど大量な花を詰め込んだ花壇は植木屋と市は特別なツテで繋がっているのか?と勘ぐりたくなるほどあった。
市内の各地区の公園緑化も進む中、植樹したばかりの公園で管理会社が変更し給水所の鍵が失われたと言う理由で、半年ほどだったか潅水が行われず木々が枯れはじめたスキャンダルもあったり、良策と悪策が二人三脚しているフィレンツェ。
「記憶の森」プロジェクトは、この時期に作る必要ある?植木購入費を今は別の用途に使ったほうがええんとちゃう?と思わないでもない。それでも、トスカーナのシンボルの、平和の木・オリーブと永遠の木・糸杉を、忘れてはならない記憶として残していく「記憶の森」とは、やはりそれ自体とても素敵な案だと思う。