チンクエテッレの電車を利用。
イタリアに来て、電車で移動することがめっきりなくなった。車での移動は快適だが、やはり鉄道の旅は郷愁があり、旅情を深める。
ここは、リグリア州のチンクエ・テッレの駅。5つの小さな村を行き来するのは、車よりも電車が早い。早いだけではない。線路は青い海に沿って続くのだ。残念ながらトンネルが多いので、地中海を観望しながら鉄道の旅を楽しむというわけにはいかないが、海を眺めていれば遅れた電車を待つのに退屈しない。甘い香りを放つ満開の海桐花の下で、プラットホームに立つ村人たちがおしゃべりに花を咲かす。なんでもない時間が贅沢に感じられる瞬間である。
リオ・マッジョーレとマナローラを結ぶ遊歩道「愛の小道」から見たマナローラ駅。この路線はチンクエ・テッレの5つの駅を含めた7つの駅があるのみだが、2階建ての車両が走る。冬の時期はひっそりとしている駅も、春から秋にかけて観光客で賑わうからか。
石の間を突き抜けて、生き生きと茂る草花。まるで後から演出したかのような風情である。
私の兄は中学校のころ、当時流行った鉄道ファンだった。アルバムは大阪駅に着く電車の写真で溢れていた。電車は「動く鉄の箱」としか思わなかった私には、同じような写真ばかり何がおもしろいのか、理解できずにいた。しかしここに来て、鉄道を愛する人々の気持ちが少しだが理解できた。
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