雨上がりのシエナ訪問。
先週、シエナを訪れた。
あいにくの雨模様だったが、しっとりした古都には雨も似合う。
歩いているうちに雨もあがり、2月の雨に濡れた町を散策した。
レンガ造りの建物に囲まれた、道上には決して太陽の光が届かないのではないかと思う通りの先にカンポ広場が見えてくると、毎回、その美しさに魅了される。
イタリアでは、美しい小さな町を言い表す言葉に「宝石のような」という形容を使うことがある。
特にトスカーナには、この「宝石のような」という表現がぴったりの小さな田舎町がたくさん存在するが、シエナもそのひとつだ。シエナは宝石の中でも、貝の形をしたカンポ広場があらわすとおり「真珠」のような落ち着いた気品のある美しさを持つ。
シエナの大聖堂はロマネスク・ゴシック様式の代表建築のひとつ。フィレンツェの大聖堂に比べれば小規模であるが、ここは一体教会なのか?と疑うばかりのきらびやかな内部は、天井のフレスコ画、床のモザイクに、ミケランジェロの彫刻もあり、入場料を払わねばならぬのも納得のいく素晴らしさだ。もはや教会というよりも、美術館である。
フィレンツェの大聖堂に対抗して開始された拡張工事は、1348年のペストの流行で人口が激変し、経済的にも難しくなったため工事を中断した。工事が完成していれば新しい正面玄関になるはずだったところに登りシエナの町を眺めることができる。
大聖堂の裏手にある洗礼堂へ続く階段。洗礼を受けてから教会へ入るようにと洗礼堂は教会の入り口前に建設することが多いが、シエナの洗礼堂は珍しく、教会と隣接した形で裏手にある。
大聖堂は市の一番高いところにあるが、段差があるそのままの地形を利用したため大聖堂から洗礼堂の入り口へ行くのに、階段を下りねばならない。
大理石の階段は、天然の色・模様が美しい。
シエナも坂の多い町である。
降った雨が地面をぬらし、ただでさえ滑りやすい石畳の道をさらに滑りやすくしたために、ヒールの靴を履いた女性が傘の助けを借りながら恐る恐る坂道を下っていた。坂の先には、すでに花を咲かせたミモザの黄色がレンガ色の町に春色を添える。
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