ビスコッティ。
ビスコッティ といえば、皆様よくご存知かと思うが、アーモンドが入った長細くてちょっと硬いアレ。
これ!生地を長細ーく伸ばして焼いて、焼けたのを斜めに切ってまた焼く。ビス(2度)コット(焼く)、2度焼きしたお菓子なのでこう呼ばれる。なぜ2度焼くかというと、長持ちさせるため。今では消費者のリクエストに答え柔らかいタイプのものも販売されているが、基本は硬め。
ビスコッティといえば、プラート市。プラート市とはフィレンツェから電車で約20分のお隣さん。
プラートのビスコッティ(ビスコッティ・ディ・プラート)で一番有名なお店がアントニオ・マッテイ。
Biscotti Mattei
Via Bettino Ricasoli 20 Prato
1858年アントニオ・マッテイ氏により創業。1908年に今のオーナーの一家がレシピと店を買い取り、現在で3代続く。
19世紀に生まれたマッテイ氏のビスコッティは瞬く間に様々な博覧会で受賞する。その中でも特筆すべきは1867年のパリ万博の選外佳作賞であろう。パリ万博には、日本人(江戸幕府、薩摩藩、佐賀藩)が初めて参加したというから、もしかしたら幕末の人々もビスコッティを食べたのかもしれない。
店内の様子。ブルーの袋がアーモンド入り。赤がチョコレート、緑がアーモンドとピツタッキオ。
これはローマ教皇フランチェスコ1世がフィレンツェを訪れた記念に作られた味。教皇がお好きだというシャガールの白の磔刑にちなんで砂糖コーティングになっている。
缶入りもあり。ここのビスコッティは90%がプラートとフィレンツェで消費されるという、地元でもとても愛されているお菓子なのだ。残りの10%はドイツ、フランスやスイスへ輸出している。ヘルマン・ヘッセも『イタリアからDall’Italia』という紀行でプラートのビスコッティについて書いている。
アントニオ・マッテイはビスコッティだけでなく、パネットーネやコロンバなどの季節のお菓子、その他焼き菓子一般を作る。このお菓子が気になるぅ~。
しかし、ビスコッティのレシピがマッテイ氏によって創作されたというのではない。アントニオ・マッテイのビスコッティのレシピはアントニオさんのオリジナルだが、アーモンド入りビスコッティなるもの古くは16世紀にカテリーナ・デ・メディチも食べていたそうだ。ビショッテッリと呼ばれていたそうだが。しかし、アントニオ・マッティがビスコッティ・ディ・プラートの創作者ではなくとも、ビスコッティが有名になったのはアントニオ・マッテイのおかげである。
(フェッテ・ビスコッターテ。ラスクみたい?ってか、ラスクか?)
ビスコッティはカントゥッチとも呼ばれるが、カントゥッチはもともとは今でいうフェッテ・ビスコッターテのようなもので『ピサのカントゥッチ』なるものが有名だったらしい。ピサのカントゥッチはもう存在しないが、時代とともにビスコッティとカントゥッチがほぼ同一のものとされ、カントゥッチ・トスカーナは2014年にIGP(EUによる保護地理的表示)の商品に認定される。
実はカントゥッチとビスコッティ・ディ・プラートは、若干の違いがある。カントゥッチは小麦粉、卵、砂糖、アーモンド、蜂蜜、ベーキングパウダーが原材料。ビスコッティ・ディ・プラートは、小麦粉、卵、砂糖アーモンド、松の実が原材料で、蜂蜜、ベーキングパウダーが入っていない。でも、私たちにとっては同じようなものかな
ビスコッティはプラートだけのものではない。ジェノヴァにはビスコッティ・ディ・ラガッチョというよく似たビスコッティが存在する。単純なお菓子だから、イタリア中に類似品があるかも。
ところで、アントニオ・マッティのビスコッティはプラートに行かずともフィレンツェで購入できる。青色の袋が目印で、いろんなお店で見つかるのじゃないかな。
カントゥッチョ屋はフィレンツェに数軒ある。いずれも中央市場付近である。
Il cantuccio di San Lorenzo ちょっと固め。
http://www.ilcantucciodisanlorenzo.it/it/
Il Cantuccio ここは柔らかめだったと思う。確か・・・。
https://www.facebook.com/I-biscotti-di-Leonardo-1161754697181936/
Il Cantucci Lory 柔らか目。
http://www.cantuccilory.it
ビスコッティなりカントゥッチョなり名前はどうであれ、トスカーナを代表するお菓子であるので、トスカーナにお越しの際は一度はお試しください!
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