イタリアのグリーンパスの是非
8月初旬に開始したグリーパス制度。その目的はワクチン接種を奨励するため。
現在のイタリアで、12歳以上のワクチン2回接種者は全体の約73%である。コロナを押さえ込むには集団接種が7割に達する必要があると春先に定めた目標は、デルタ株の出現で最低9割以上とハードルが上がった。その為には、反ワクチン派にも出来る限り早い接種を促す方法の一つとして生まれた制度で、より多くのコロナフリーゾーン作ろうというものである。
ワクチン接種促進に効果があるならば、私はグリーンパスに賛成だ。とりあえず安心できる空間を確保されるという意味でも当然のように思える。ワクチンはまだ治験の段階であること、ワクチンで100%の免疫が保障されている訳ではないということも踏まえてだ。
治験に関してはすでに約500万本のワクチンが投与された結果、ワクチンのリスクは交通事故に遭うリスクより低いということ、たとえコロナに疾患しても重症にならない(現下、集中治療室のコロナ患者の97%ほどがワクチン未接種)こと、ワクチン未接種者はワクチン接種者よりも9〜10倍のコロナ感染リスクがあるなどの科学的な見解を信じたい。そしてワクチンまたはロックダウン以外に他にコロナを押さえ込む方法がないというならば、仕方あるまい。
しかしグリーンパス義務化以降、フランスでもイタリアでもグリーンパス反対の抗議運動が起きている。しかもかなり暴力的なもので、先日、イタリアでは報道記者が殴られた。抗議はグリーンパス反対派+反ワクチン派+極右団体によるものらしいが、どうやら誰かが裏で糸を操っているとも聞くがどうなんだろう?
グリーンパス義務化に対抗し、フランスは「自由!」を叫び、イタリアはここぞとばかり「反ファシスト」を叫ぶ。こんなところにもお国柄が出て興味深い。
ここで、大学教授達等もグリーンパス義務化についての訴えを発表したことに注目したい。彼らの訴えは、大学生が大学に来るにはグリーンパスが必要ということに反対するものである。これは「法が強いない限り医療措置を強制することはできず、それに対して人権を制限してはならない」という憲法に反するし、「ワクチン接種しないと決めた人々を差別しない」というEUの規則にも反し、延いては民主主義の理念を脅かすという主張である。
要するに、ワクチンは義務ではないと言いながら、ワクチンを接種したかしないかで行動を制限するのはおかしい。しかも、例えばレストランの室内で飲食するにはグリーンパスが必要だがレストランの従業員はグリーンパス保持は義務ではないというように、穴が空いたシステムのグリーンパスを廃止し、ワクチン接種を法律の下、義務化せよ。政府よ、偽善者面をするな、責任を持てというのである。
コロナは緊急事態であるので、ある程度、駆け足の対策をなさねばならない。しかし、駆けながらも思索することも必要であると某教授は言う。思惟は教授達をはじめとする有識者に任せたいと思うが、彼らの間でも意見が分かれる。議論はすべきだと思うが、それだけ未曾有の事態ということでもあろう。私なんぞは何が正しいか訳が分からなくなってくるが、とにかく早くコロナを抑え込みたい、それだけである。
グリーンパスは無料で以下の条件下で得ることができる。
- 1回目ワクチン接種済みまたは1回接種タイプのワクチンを2週間前に接種済み
- 2回のワクチン接種済み
- 48時間以内のPCR検査で陰性
- 6ヶ月以内でコロナ疾患して回復
グリーンパス提示場所:
- 冠婚葬祭などの集会参加
- 病院関連の施設
- オレンジゾーンやレッドゾーンからの移動
イタリアは州ごとにコロナ感染危険度で色分けされており、現在、黄色ゾーンのシチリアを除いて白ゾーン。(白から赤へ色の濃さで4段階) - レストランの室内で飲食
- 観劇、イベント(スポーツ関連含む)
- 美術館、展覧会などの文化イベント
- プール、ジム、エステ
- 季節のイベント・お祭り・市・展示会
- 温泉
- 室内の文化教室、サマースクール等
- 遊戯場、カジノ
- コンクール
- 公共交通機関
- 学校
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