レストラン「ソフィア・ローレン」

レストラン「ソフィア・ローレン」

コロナの最中にも幾つかのレストランが開業した。その一つが「ソフィア・ローレン・オリジナル・イタリアン・フード」だ。

ソフィア・ローレンレストラン

私はトスカーナ応援隊なので、できる限りトスカーナ人(またはトスカーナに馴染んだ方)経営で実直に頑張っていらっしゃるお店を紹介したいと思っている。だからこのレストランはその枠に入らないのだが、ずらりと並べられた輝かしい宣伝文句に魅かれて、先日、敵陣に乗り込む気分で(なんでや?)行ってきた。ここの売りは、ミシュラン星付きレストランのシェフとお菓子職人にイタリアのピッツァチャンピオンのピッツァ職人が監修し、最前線で活躍する(と思う、多分?)建築家がデザインした、100%ナポリを味わうお店である。オーナーはコロナの時期にも開業できる資産に余裕がある元政治家のナポリ人実業家だ。

店内

レストランの場所は共和国広場にもドゥオモにも近い一等地。肝心のメニューは、アンティパスト、プリモ、ピッツァ、ドルチェ。セコンドはない。アンティパストにはモッツァレラメニューやフリット(揚げ物)メニューがある。

ズッキーネの花のフリット

まず、私たちはアンティパスト2品を注文。一つはズッキーニの花のフリットを。家でも作るが外で食べる揚げ物はサクサク感が違うし季節限定(のはず?)ということで、これがメニューにあればおつまみ感覚で頼んでしまう1品である。期待に外れず、美味しかった。

ナスとキノコ

イタリアのナス料理は間違いがないと確信させてくれる「ナスとキノコ」という名の品。なんですか、これは?揚げナスとキノコの和え物?イタリアのナスは皮が固い気がするが全くそんなことはないし、ナスやキノコの味を特定できるものではないがすごく美味しかった!油で揚げているからか?揚げれば靴底でも美味しいというぐらいだからな、という嫌味は置いといて、本当に美味しかった!レストランで出会う、家で真似したくなる家庭料理で、でも完璧に再現するのは難しいプロの味という料理が大好き!

パスタ

プリモは鱈のプッタネスカ。鱈の存在感は少なかったが、これまた美味しかった。他にも気になるナポリメニューがあり、トスカーナ万歳の私だが、カンパーニャ州の美味しさにそこに移住したいぐらいに気持ちがぐらつき(単純!)、みんなでいつかナポリに行こう!と盛り上がった。子供が落ち着いたら実現するといいな。

マルゲリータピッツァ

今回の女子会のテーマはフィレンツェで美味しいピッツァを探せ!だった。美味しいと噂のピッツェリアは幾つかあるが、釜を温めないといけないからか夜のみ営業が多い。ここはありがたいことにお昼でもピッツァを食べることができる。でも本当に大丈夫かな?と疑いもあったが、そんな心配も全く不要の、この見た目!縁が盛り上がって豹柄!

生地がモッチモチで本当に美味しかった。縁を残すどころか縁が美味しく、具の量がちょうど良い割合だった。

宣伝の有名ピッツァ職人は常時しておらず、お店の職人に技を教えるわけで材料が同じで作り方を真似てもピッツァはその日の湿度や気温で出来が多少変わると思うんだよね。実際、友人の知り合いが行った時は美味しくなかったと聞くし。それを均一の美味しさにするのがプロなのだが、イタリアはそんなところがあまり期待できないと思っている。

ここに通いつめてる訳でもないし、何よりもそこまで味がわかるわけではない。それでもとにかく今回の私たちが頂いたピッツァは大変美味だったのは確かである。

ピッツァの釜

SFチックなピッツァの釜、なんかカッコええ。

ワイン

飲み物は、発泡ものを。先日、ピッツァにはファランギーナと聞いたので探したらFalanghina del Sannioがあり、それが発泡だったのが尚更よし。夜、ちょっとだけ頭痛がしたが、食事との組み合わせに満足出来た。

パスティエーラ

ドルチェはお店を変えることが多いが、今回はお菓子職人も有名だということで続けて居座ることにした。お願いしたのは、パスティエーラ・ナポレターナとデリツィア・アル・リモーネ。

ナポリの復活祭のお菓子として知られるパスティエーラ・ナポレターナはトスカーナでは食べる機会はほとんどないが、リコッタを使ったお菓子なのでリコッタ好きの私には大好物である。久々に食べれて嬉しい。

デリツィア・アル・リモーネ

デリツィア・アル・リモーネもトスカーナであまり見かけないし、「レモンのご馳走(悦楽)」と名前からはあまり惹かれないドルチェだったが、この日、初めて食べたみた。なんと!驚きの美味しさ!名前の通りや!

クリームたっぷりのコッテリした見た目と異なりレモンが効いたあっさり味で、これはきっと無限に食べれる!(友人によると、ナポリではもっとレモンが効いているものもあるらしい!)

是非とも家でも作りたいとレシピを見たところ、私には少し面倒だった。トスカーナのお菓子は素朴だから私でもなんとか作れるが、ナポリのお菓子はパスティエーラにしても手が込んだものが多いのかな?トスカーナが飽きのこないじわっとくる美味しさとしたら、ナポリのは手が込んでいる分、美味しさに驚きがある?ただ目新しい味に驚いただけなのだろうか?

これを書きながら思い出しては食べたくなる。

エスプレッソ

コーヒーもこだわりがあって、ナポリの小さな焙煎所の珈琲豆使用と聞いては頼まないわけにはいかない。私は酸味のあるアラビカタイプ派なので好みではないが、これは濃いけれど苦味が少なく確かに美味しかった。

実のところ、このレストランは噂だけが膨らんでそれほどではないのでは?と期待値は低かったのだが、全てが本当に美味しかった。美味しいとしか表現できず語彙の貧困さに泣けてくるが、とにかく満足した。

大手経営か、と思う一方で40人の雇用を考えるとフィレンツェの経済にちゃんと貢献している。入り口でウィエターの若い男の子が「日本人?僕、島唄歌えるで!」と上手に歌ってくれたのは微笑ましかった。

フィレンツェ滞在が短いのならば、是非ともトスカーナ料理を存分に味わっていただきたいが、長めの滞在ならば試してみるのも面白いレストランの一つであろう。カフェもあるので、そちらでドルチェやスフォリアテッラ(何重にも重なるパイ生地のナポリの焼き菓子)を試すのも良いかも。

ところで、店名の「ソフィア・ローレン」だが、ナポリ人を体現している女優のソフィア・ローレンが名前を使用することを認めているが、経営は前述の通り別である。

Sofia Loren 
Via dei Brunelleschi, 11

この記事をシェアする

Facebook
Twitter
Pinterest

関連記事