プラートのお菓子。
イタリアの食の雑誌ガンベロロッソのパスティッチェリア(お菓子屋)2018年版によると、トスカーナで一番評価の高いお菓子屋がプラートにある。
ということで、トスカーナで一番美味しいパスティッチェリアを訪れた。一番という言葉には賛否両論もあろうが、一度ここのお菓子を食べると夢に出てくるほど美味しいことは間違いない。
Pasticceria Nuovo Mondo
Via Giuseppe Garibaldi 23
このお店の菓子職人(パティシエ)は、パオロ・サケッティ氏。彼は2012年にイタリアのベスト・パティシェリに選ばれ、イタリア菓子職人マエストロアカデミー(とでもいうのかな?)の副学長である。どうりで、驚くほどに美味しいわけだ。
プラートのお菓子といえばビスコッティが有名だが、実は「ペスカ・ディ・プラート」というお菓子も存在する。ペスカ・ディ・プラート=プラートは、19世紀中頃、イタリア統一の頃に生まれたと言われる。
桃と名がつくが桃を使用したお菓子ではなく、桃の形をしたお菓子である。
丸い形をしたスポンジケーキを二つに割って、中にクリームが入っている。スポンジはアルケルメスという赤色をしたアルコール度数40ほどのリキュールに軽く浸してあるのでお酒が弱い方には不向きなお菓子だが、お酒が好きな方には午後のおやつとしてイケる味である。わ、私向き。
「ペスカ・ディ・プラート」は、フィレンツェでも昔ながらというか古臭いお菓子屋やバールで時々見かけるお菓子だが、最近はあまり作られていないかも。毒々しい赤い色のスポンジにクリームが入っているだけで、いつまでもショーケースの中に残っているあまり食指をそそられないお菓子だと思っていたが、今回はプラートの名物菓子ということでいただいた。見た目も、古臭いバールのものとは違う。
で、食べてみた!とても美味しい。特に、中のクリームが驚くほど美味しいのだ!
パオロ・サケッティ氏が伝統菓子を大切にしいらっしゃり、ペスカ・ディ・プラートについての本も出されるほど。彼のペスカ・ディ・プラートを食べずにこのお菓子は語れない。
ペスカ・ディ・プラートの中に入っているのがザバイオーネなのか聞くのを忘れたが(多分そうだろう)、ザバイオーネだけ別売りされていた。うん、わかる。美味しいもの。
ザバイオーネの発祥もいろんな伝承があるけれど、15世紀のジャンパオロ・バリオーニという名の傭兵隊長に由来するものが一番好きかなぁ。
ジャンパオロがとある町を包囲しようとしたので、周辺の農民は皆、城壁内の町中へ逃げ込んだ。農家に残っていた材料の卵や砂糖、ワイン、香草を全部混ぜて作ったクリームをスープのように食べたらとても滋養があって兵士に人気が出た。ジャンパオロ・バリオーニは方言でズバン・バヨンと呼ばれていて、それが訛ってザバイオーネになったそうだ。あったものを混ぜちゃったら出来たって、イタリアの食べ物によくある話。あとは、16世紀のトリノの修道士パスクワーレ・バイロンのレシピだとか、マントヴァの宮廷のシェフのレシピとか・・・。誰が発明したとしても、美味しいクリームなのである。
ペスカ・ディ・プラート以外にも、見た目もきれいなお菓子、季節に準じたお菓子など様々なお菓子が楽しめる。バールでもあるので、朝食用のクロワッサンなどと珈琲も楽しめる。プラート観光で一息つきたい時は、是非!
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