アルノ川沿いを自転車で走っていると、ボートが川を下るのが見える。ゆっくりと前進するボートは見た目は優雅だが、体力を要するスポーツである。しかし、一度は試してみたいものだ。
さらに歩を進めると、ドゥオモ、クーポラとジョットの鐘楼の定期検査を行っているのに出くわした。1296年にドゥオモの建設が始まって以来、冬の終わりに毎年、大理石などの具合についての検査が行われているそうだ。現在では、クーポラの天辺まで届くことができる高さ103メートルのクレーン車が使用されるが、昔は命かげだったのではないだろうか。機械装置のおかげで、現在は定期検査が楽になったとはいえ、昨年だったろうか、ジョットの鐘楼から大理石の破片が落ちる事件が起きた。検査をしても起きるときは起きるものかもしれないが・・・。高いところなので何をしているのかしっかりとは見ることができないが、どうも棒のようなものでトントンと大理石を触って落ちないかどうかを調べるというような単純な検査のようである。5月6日から第二期の検査が始まるそうなので、この時期にフィレンツェに行かれる方はクレーン車で検査をしているのに出会うかも・・・。
ドゥオモを後に、目的地であるベッカリア広場のクローチェ門へやってきた。ここは、フィレンツェで最初の殉教者聖ミニアートが首を切られた場所と言われている。ここから、聖ミニアートは切られた首を抱えミケランジェロ広場の上にあるサン・ミニアート・アル・モンテ教会まで歩いていったという伝説が残る。
門にはこのような入り口があり、ここへ入るためにやって来た。ヘルメットは必須、白い服と長靴は選択で、着用。
さぁ、懐中電灯を持って順番に階段を下りて真っ暗な地下へ。
ここは、フィレンツェの地下を流れる全長約800kmにおよぶ下水道。フィレンツェでは、今よりもずっと小規模で17世紀から下水道は存在していたが、それよりも増幅した規模の現在の下水道は19世紀に都市再建計画の一環として造られた。
下水道を流れる汚水は、下水処理を担うプブリアクア株式会社の処理施設に集められ浄化する。目下、汚水の約70パーセントが浄化された状態だが、近々、アルノ川左岸に100パーセント浄化できる設備が建設される予定だ。これが実現すると、イタリアの大都市で初の試みとなるそうだ。
これは数十年前まで使用されていた水道管。
フィレンツェのすべての通りの下、このように下水道が走っている。毎日、プブリアクアの作業員が地下に降りて点検しているのだそうだ。私達は大勢でわいわいがやがやと地下へ入っていったのだが、毎日の点検では暗闇の中を少人数で歩くわけだから、なかなかに怖いものがある。
下水道というと、最近の映画では「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャンが下水を流れていったが、あれは見ているだけでも鼻をつまみたくなるものであった。
フィレンツェの下水道の入り口付近では嫌な予感の臭いが漂うし、先に入った記者団の若い男性が「臭いで頭痛がする」と上がってきたものだから、やっぱり入るのやめようかな?なんて思ったがフィレンツェの場合、下水道を流れるのは雨水とトイレ以外の生活排水。トイレは簡易水洗式便所なので、下水道に流さず、便槽にためてバキュームカーが処理する。(こんな立派な下水道があるのにフィレンツェ人はトイレの汚水を家に溜めたがると、現場にいらっしゃったプブリアクア(株)の社長さんがぼやいていた・・・)なので、中に入ってみるとフィレンツェの下水道はその手の臭いはしない。ホッ。
町中を走る下水道。何処の町も当たり前の設備ではあるが、普段に見ることのできない現場を見れるのはとても貴重な体験であった。
ブログランキングに参加しています。よろしければ、応援クリックお願い致します。
にほんブログ村
人気ブログランキング
Share on facebook
フェイスブックでシェア
Share on twitter
ツィッターでシェア
フィレンツェの下水道
この記事をシェアする
Facebook
Twitter
Pinterest
Tomoko
easyfirenze.com
ワインとチーズソムリエの資格を有するイタリア政府公認ツアーガイド・添乗員。
ワインと花と本が好き。自転車でトスカーナを巡る2児の母。
関連記事