フィレンツェのトラットリアI'Brindellone
2月17日は、フィレンツェの古式サッカー(カルチョ・ストーリコ・フィオレンティーノ)にとっって最も歴史に残る日である。今日では初夏に開催される古式サッカーも中世ではカーニバルの時期に行われた。そして、1530年のこの日、フィレンツェ共和国が数ヶ月に亘り神聖ローマ皇帝カール5世の軍に包囲されていたにも関わらず、通常通り、平然と古式サッカーの試合をしてその豪傑ぶりを見せつけた。
写真はホビー・モデル・エキスポ2012から拝借したが、1530年2月17日の古式サッカーの試合をジオラマで再現したもの。サンタ・クローチェ教会の立派なファザードは19世紀になって造られたので、昔の素っ気ないファザードが当時の雰囲気を出す。(といいながら、お隣のジオラマが中国の町なのか、剃った屋根が視野に入って、せっかくの想像が邪魔されるけれど)
2月17日の日曜日、1530年の記念すべき試合を祝うため、サンタ・クローチェ教会でミサと広場で古式サッカーの簡単な実演があった。ミサは関係者のみだったようで、正面の扉が開いていた隙に写真を・・・。
古式サッカーにちなんで、ひとつフィレンツェの地元人に愛されているトラットリアを紹介したい。写真の右真ん中あたりに人だかりが見えると思うが、昼食時間帯にはこんな感じに賑わうトラットリアは、「I’Brindellone イ・ブリンデッローネ」(本当は、Il Brindelloneだが、フィレンツェ風にIlが、I’となる)
これは少し前に食事をしたときの話である。17日も行ったが、お昼の12時30分というのに予約なしでは入れなかった人気店。
I’Brindellone イ・ブリンデッローネ
Via Piazza Piattellina 10/11r Tel. 39 055 217879 月曜定休
13時過ぎに行ったが、混み合っている。次から次へと客足が耐えない。カルミネ教会の近くなのだが、平日のお昼なのでこの周辺の労働者がほとんどなのだろう。町の食堂っぽさが、食べるぞ!という気分を盛り上げる。
壁には古式サッカーの写真が所狭しと飾られている。旦那曰く「元古式サッカー選手が働いている」というのはあながち嘘とは言えないようなしっかりした図体のお兄さんが給仕してくれる。デカイのは体だけで、とても親切でフレンドリーな方である。
中心からは少し離れるがフィレンツェの歴史地区内に未だに昔ながらの「フィレンツェ人のためのフィレンツェ人によるフィレンツェ風のトラットリア」が残っているのには驚いた。
お昼だったので、セットメニューのプリモとセコンド、付け合せで10ユーロ。(水またはワイン4分の1も付いていたような気がするが、記憶が定かではない。残念ながら)
プリモに、私はミートソース、旦那はピリ辛トマトのカレッティエーラ。お昼なので忙しいからか、少しパスタの茹で過ぎであったが(私はアルデンテ中のアルデンテが好みなのだ)、ソースの味がよい!
セコンドに、旦那のローストビーフ、私はアリスタを。アリスタとは、豚(肩ロース)の香草焼きという至極シンプルな一品である。シンプルでありながら、名前の由来には堂々たるエピソードが残る。
15世紀のフィレンツェで、西と東のキリスト教司教が集まる宗教会議(公会議)が催されたとき、その晩餐会で供されたのが、この豚肉料理。これを食べたギリシア人司教が母国語で「Aristos!/最高だ!」と叫んで以来、アリスタと呼ばれるようになったという。これもまた、昔からのフィレンツェの名物料理のひとつである。アリスタはスーパーでも手に入るので、家でもよく作る。しかし、なんだろう?お肉の違い?焼き加減の違い?家ではこうはいかない感心の美味しさだ。まさに「Aristos!」である。
そして、付け合せのホウレン草。外で食べる野菜は、生を除いてものこれでもか!と茹でてあるので、私は苦手なのだが、これはしっかりと茹でてはあるが、いい味付けだ。
お腹は一杯だったけれど、ここのデザートはどんな味ぞや?と興味が沸いたので、マスカルポーネ・クリームを。ティラムスの中身のみのデザート。美味しいが、私はティラミスになってるほうが好きかな。タルトを食べたい気分であったが、気分にあうデザートがなかったのが、残念。
このトラットリアは全く飾り気がない。それでも真のフィレンツェを味わいたい人には、これ以上適した場所はない。まさに「フィレンツェDOC」のお店なのだ。
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