アッバディア・サン・サルヴァトーレの修道院
トスカーナはオルチャ渓谷の南にアミアータと呼ばれる山が聳える。その山中にあるベネディクト宗派の立派な修道院サン・サルヴァトーレを訪れた。修道院の建築は8世紀中頃に遡り、ロンゴバルドがイタリアを支配していた時期となる。
修行と瞑想のため人里離れた場所に建てられたのか?と思いきや、それ以外にも重要な理由があった。ここがローマ方面への陸路の通り道であり、通行人の安全を監視する拠点の一つであった。
修道院付属の教会は、歴史ある修道院らしく東に向かって主祭壇がある。内陣の3つのアーチが奥行きを感じさせる。
「聖なるキリストの礼拝堂」に描かれたフレスコ画に、この修道院の設立の伝説が描かれている。「ロンゴバルドの王が狩りの最中にモミの木の樹頭にキリスト(サルヴァトーレ)が現れた」まさにその場所に修道院が建てられた。
フレスコ画の作者は、17世紀のトスカーナの画家フランチェスコ・ナジーニだ。
修道院の上に現れたキリストのステンドガラスも美しい。
「教区教会の聖母の礼拝堂」は、聖母の物語のフレスコ画だ。近所の教区教会のフレスコ画をここに移動させて修復したという背景を持つ絵なので、残念ながらかなり破損をしている。作者は不明だが(フランチェスコ.ナジーニ?)、優美なタッチが魅力的である。
この教会の見どころは、隠れんぼができるほど広い地下礼拝堂だ。20世紀に重要な修復がなされたのだが、35ある柱の中で24はオリジナルである。
床から照らされる照明は現代的ではあるが、これはこれで神秘的で美しい。残念ながら観光客も少ないので、さらに雰囲気がでる。
まるで地下に広がる石の森のようである。そして、柱も柱頭も装飾が面白い。
ゴルディアスの結び目。これは、現在のトルコに存在したフリギア王国の首都ゴルディオンの伝説である。柱に複雑に結び付けられた紐を解くことが出来た者がアジアの王となる予言で、多くの者が試すが成功せず。そこにアレクサンダー大王が剣で紐の結び目を切断したことで解決した。このことから、紐を難解な問題を大胆な方法で解決することを意味するそうだ。
またはソロモンの結び目とも言われ、それは永遠や深い絆を表す古いシンボルである。
いずれの結び目にせよ、考えさえられるものがある。
栗の産地らしく、栗がたわわになっていた。この村では、秋に盛大な栗祭りが開催される。次はお祭りに合わせて訪れたい。
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