アレッツォのドゥオモ
アレッツォのドゥオモは「聖ピエトロと聖ドナート」の2人の聖人に捧げられた聖堂だが、砂岩の外観はいたってシンプルだ。
しかし、内部は華麗である。トスカーナには珍しいアルプス以北のゴシックスタイルで、天井が高くステンドグラスが美しい。見上げれば、16世紀のフレスコ画に圧倒される。
教会の名を冠する聖ドナートとは、3世紀に生きたアレッツォの2番目の司祭。アレッツォにキリスト教徒を広めた殉教者だ。ドゥオモの主祭壇には聖ドナートの生涯が描かれた見事な棺が飾られている。
祝福を与える聖母子は13世紀のもの。長細さを強調した線が時代を感じさせて面白い。板絵に席を譲らず、フレスコ画が残っているのも良い。
14世紀から15世紀の初葉のフレスコ画ほど味のある者はない。遠近法が明確になっていない中、懸命に3次元の世界を描こうとしえている様が良い。
そして、ルネサンスが来た。ピエロ・デッラ・フランチェスカのマグラダのマリア。この人間としてのどっしりした存在感!平面なのに、奥行きがあるような錯覚を覚える。
こちらはアレッツォの重要人物グイド・タルラーティの大理石の見事な記念碑。グイドは14世紀の司祭であり軍人(アレッツォの領主)でもあった人物で、この記念碑に描かれている物語は宗教的で且つグイドの采配で幾つかの城塞を手中にすることが出来たという政治的なプロパガンダも含まれている。スゴイ。
この礼拝堂は、「慰めの聖母」と呼ばれる、奇跡を起こした陶器の聖母マリアが飾られている。慰めといよりは励ましといったほうが良いかもしれない。聖母は神の存在を認めさせてくれ(それを信じるのを励ましてくれて)、教会への門を開いてくれるということらしい。美しい礼拝堂は、お祈りの祈祷所でもある。
アレッツォのドゥオモは鐘楼も素敵なのだ。面白いことに、教会に隣接しているのではなく、合体している。今は落葉しているプラタナスの木が緑になる頃も、とても映える写真が撮れる。
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