ピエロ・デッラ・フランチェスカの聖十字架伝説
アレッツォの聖フランチェスコ教会の主祭壇には、ピエロ・デッラ・フランチェスカの聖十字架伝説の物語が描かれたフレスコ画がある。この冬、フレスコ画の修復作業が行われたが、足場に登ってフレスコ画を間近で楽しめる機会に恵まれた。
主祭壇の壁一面に描かれた10枚のフレスコ画は、キリストが架けられた十字架の行方を物語る。
足場に上がり、ほぼ等身大の登場人物が目の前に現れた。想像以上に素晴らしい。
光に満ち、落ち着きがあり、調和を成している、これらの言葉が静かに溢れ出てくる画風である。
美しい絵だとは思っていたが、間近で見て、これほどまで!と驚いた。女性たちの髪飾りの清楚さがさらなる美を増す。
シバの女王と対をなす聖エレナ。3段に渡り物語が続く中、中段はなんと女性が主役となる、ルネサンスの面白さ。
これはフレスコ画の中で最も有名な1枚となる「コスタンティヌス帝の夢」。ほんわりとした光に照らされた十字架を手にした天使が天から舞い降りてくるシーンは、本当に美しい。小指が立っている(らしい)のも一興である。
美しいのは人物だけではない。植物も見事だ。これは祭壇の窓がある方角、左から光の当たるトキワガシの木だろうか。
今回の修復は、数十年に一度行われるらしい清掃のためだそうで、この修復が終われば一層光り輝くピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画を堪能できることであろう。
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