ペルージャとアッシジへ。
12月、霧が深く立ち込める日にペルージャとアッシジを訪れた。トスカーナからトラジメーノ湖を越えて東へ向かう。トラジメーノ湖の霧に隠れてカルタゴの武将ハンニバルがローマ軍に奇襲をかけたのは紀元前217年の6月のことであったと、遠い昔を想像しながら。
トラジメーノ湖の霧がここまで流れてきたのか、ペルージャは霧の中。目貫通りを抜け、町の中心にある広場へ。広場を飾るのは、ニコーラとジョヴァンニのピサーノ親子による秀作「マッジョーレ噴水」。当時、最も売れっ子親子の作品がペルージャの繁栄を誇るように、素晴らしい彫刻が噴水の周りを飾る。「月の仕事」と星座も描かれているので、自分の星座を探してみたり。
ペルージャのドゥオモとなる聖ロレンツォ教会に「出産の聖母」がある。お腹を膨らませたマリア様をテーマにした絵画は少ないが、最も有名なのはピエロ・デッラ・フランチェスカだろう。ピエロのフレスコ画は、幼げな、しかしこれからの出来事を誇りに思う母親の顔が印象的だが、こちらの聖母も優美さでは負けていない。
丘の上に建つペルージャの街は起伏がありとても味がある。高台からの絶景が白い靄の中に隠されてしまったのは残念だが、やはり魅力的な町だ。
ペルージャ発のチョコレート屋ペルジーナ。ヘーゼルナッツが入っている「バーチ(キス)チョコ」が有名である。ペルジーナも数年前にスイスの企業ネスレに買収された。イタリアを代表する会社がまたもや海外資本となり胸が痛くなるが、バーチは現存し、進化している。季節限定バージョンや、ホワイトチョコ味など5種類だったかが販売されており、目と口を楽しませてくれる。
霧のペルージャを後に、アッシジへ向かった。うっすらと霧がかかっているが、こちらは青空が見える。羽ばたく鳩の一軍を見て、ドバトでありながら平和の象徴に見えるのがアッシジの不思議である。
町の上に築かれたマッジョーレ城塞へ。皇帝と教皇が関わった城塞だからか、立派なものである。
城塞からの眺めは町を覆うぼんやりとした靄に太陽の光が差して神秘的であった。
ドゥオモの青い丸屋根が美しい。
アッシジの街中へ。薔薇色の石が平和の街に柔らかい印象を与える。迷路のように入り組んだアッシジは散策が楽しい。
広場のサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会。その名が示すように、古代ローマ時代のミネルヴァ神殿を聖母マリアに捧げた教会に改築した。古代の柱の大きさに圧倒される。
聖フランチェスコ聖堂。ここに、イタリアで最も愛されるアッシジ生まれの聖人、イタリアの守護聖人である聖フランチェスコが眠っている。正直なところ、アッシジはイメージと異なり、バールのぼったりくりや店員の無礼さにうんざりする町の一つだが、それでもやはりこの聖堂を見ると、今一度フランチェスコの唱えた平和について考えさせられる。
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