100点満点ボルゲリワイン/夏のボルゲリ2軒(2)

ジョヴァンニ・キアッピーニのワイン「グアド・デ・ジェモリ」

午後は、今日の目玉「ワイン・エンスージアスト誌にて100点満点中100点」を受賞したワインを造るワイナリー「ジョヴァンニ・キアッピーノ」へ。

ジョヴァンニ・キアッピーニ

糸杉が並ぶ入り口を抜けて、ワイナリーへ。

グアド・デ・ジェモリ

100点満点を受賞した「Guado de’Gemoli 2009」が保管されているのを見て、期待が膨らむ。

畑

赤土の大地に、葡萄品種カベルネ・ソーヴィニヨン、カヴェルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルド、サン・ジョヴェーゼが5ヘクタールの畑に植えられている。標高は70-100m!海から10kmしか離れていないので驚くことではないのかもしれないが、トスカーナのほかの地区の畑が250mから550メートルなので、違いに驚くとともに、更なる興味が沸く。

オーナー

この日は日曜日ということと、訪問するのが日本人であるということで、オーナーのジョヴァンニさん直々に説明をしていただける幸運に恵まれた。造り手から話を聞けるのは、本当に嬉しい機会である。
ジョヴァンニさんに畑を見せていただいきながら、海からの風と煌く太陽を浴びて、ワインが生まれた環境を肌で感じる。
美味しいワインは健康な葡萄畑から。まるで自分の子供たちを紹介するように、それぞれの品種の葡萄を紹介してくれた。

樽

樽貯蔵室。フランス製オーク材の小樽のみ使用。どのワインが何年この中に、また樽の古さは?と尋ねると、一応の目安はあるが、年毎に気候が違い、葡萄の出来が違う。それに合わせて樽の熟成方法、時間も変化する。だから、一概には言えないんだよ、と。小規模だからこそ出来るこだわりである。
屋外のテーブルで葡萄畑を眺めながらの試飲。
ボルゲリDOCの白ワイン1種と、ボルゲリDOC2種類とボルゲリDOCスーペリオーレ1種類の赤ワイン。
白ワインは、ベルメンティーノ。アサリのスパゲッティが食べたくなった!
ボルゲリDOC一つ目は、カヴェルネ・ソーヴィニヨン30%にサン・ジョヴェーゼ70%が混じった1本。
「Ferruggioni」
この土地でサン・ジョヴェーゼの畑は全体の2%とか。サン・ジョヴェーゼを造っているのは、コチラのワイナリーとミケーレ・サッタとテヌータ・サングイドのみらしい。なぜなら、この土地のサン・ジョヴェーゼは、決してキアンティ・クラシコや、ましてやブルネッロの土地でできるサン・ジョヴェーゼのような強さが生まれないそうだ。気軽にのめるサン・ジョヴェーゼならば、この土地でも充分美味しいものが出来る。現に、ここのサン・ジョヴェーゼも適度な酸味でタンニンも渋みもバランスが取れている。夏にも飲める赤ワインといったところか。
2本目の赤は、ボルゲリDOC「Felciaino」
サン・ジョヴェーゼとカヴェルネ・ソーヴィニヨンに、メルローが混じる。メルローが混じることにより、まろやかさが出てきた。

グアド

最後に、ボルゲリDOCスーペリオーレである「Guado De’Gemoli」試飲するのは、満点を受賞した2009年のもの。

ああ、カヴェルネ・ソーヴィニヨン!(80%入っているのだから、当たり前!あとは20%のメルロー)ワインの試飲は軽いものから徐々に重いものへ移っていくが、サン・ジョヴェーゼのフルーティーさから、深みのある世界へ足を踏み入れたという感覚。
カベルネ・ソーヴィニオヨンの草っぽさが好みではない私だが、ボルゲリは私にカベルネの美味しさを教えてくれた土地である。このワインは、深みがあり、複雑さがあり、広がりがある。深遠というのか。しかし、品種特有の非常なまろやかさがあり、そういった意味では難解なワインというわけではない。そして、フランスに比べ暖かいイタリアで造られたというのがよく反映されている「温かみ」がこもるワインである。

2軒のボルゲリを比べてみて。
「カステッロ・ディ・ボルゲリ」は「テヌータ・サングイド」の畑に隣接し、「ジョヴァンニ・キアッピーニ」は「オルネッライア」の畑に隣接している。

サッシカイアもオルネッライアもボルゲリの代表格といえるが、「カステッロ・ディ・ボルゲリ」はサッシカイアが提供するエレガント路線、「ジョヴァンニ・キアッピーニ」はオルネッライアが提供するボディのある路線というような感じがした。まぁ、いくら畑が近いといっても、こんなに簡単に分別できるほど単純ではないのがワインの世界なのであるが・・・。


有名なワイナリーを巡るもよし、小規模でも素晴らしいワインを造るワイナリーを巡るもよし、エノテカで飲んでいると見えないラベルの裏まで見えてくるのがワイナリー巡りの醍醐味である。

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