醸造家ジャコモ・タキス
イタリアワインにルネッサンスをもたらし、イタリアのワイン界を変えた醸造家、ジャコモ・タキス氏がこの世を去った。
ジャコモ・タキス氏が造ったワインの最高傑作は、なんといってもサッシカイアであろう。今では、世界一のワインとして君臨しているといっても過言ではない。
トスカーナにありながら、カヴェルネ・ソーヴィニオンのエレガントさを最大限に引き出し、トスカーナの太陽を感じる暖かみをもってして、カヴェルネ本家のフランスを超えたワイン、サッシカイア。グラスに注いだだけで、芳醇な香りが広がりグラスを前にする人を魅了する。カヴェルネにしては、驚きの透明度。一口飲むと口の中に広がる香り、しっかりとしたタンニンはあるのだがそれでいてビロードのような柔らかさ、そしていつまでも続く残り香。年によって味わいが違うのも土壌を感じることができ、楽しい。深い森のような年、華やかな年・・・。熟成させれば、さらに特徴がでてくるであろう。
ジャコモ・タキス氏の革命といえば、やはりティニャネッロであろう。中部トスカーナの主品種であるサンジョヴェーゼを初めてバリック(小樽)に入れたのは、彼である。これが革命といわれる所以である。そうして造られたティニャネッロは、最初のスーパートスカーナの称号を得た。
その後、ソライアを手がけ、三大スーパートスカーナ「サッシカイア」「ティニャネッロ」「ソライア」の生みの親としてゆるがぬ名声を得る。低迷したイタリアワインを世界的にヒットさせたのは彼の功績である。
数年前、サンジョヴェーゼの神様と呼ばれた醸造家ジュリオ・ガンベッリ氏が亡くなったが、今度はガンベッリ氏と対をなすタキス氏もいなくなった。
イタリアワイン界も世代交代の過度期を迎えているということか。未来のイタリアワインに期待しながら、イタリアワインの歴史を築いた醸造家のひとり、タキス氏の死に謹んで哀悼の意を表したいと思う。
さようなら、そしてありがとう、ジャコモ・タキス氏!
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