ボルゲリワイナリー「ドンナ・オリンピア1898」
トスカーナの海沿いのボルゲリ村周辺は、ボルゲリDOCという銘柄のワインを生産する。
ボルゲリといえば、イタリアを代表するワインのひとつであるテヌータ・サングイドが造るサッシカイア。サッシカイアが生まれたことによって、主に果樹園やオリーブ・オイルを生産していたこの地区も世界に誇るワインの産地として急成長した。
テヌータ・サングイドのほかにはオルネッライアが有名である。フレスコバルディ所有のワイナリーで、 ジョージ・クルーニーが2年程前にヴェネチアで結婚式を挙げたときに、オルネッライアの「レ・セッレ・ヌォーヴェ」もワインリストに入っていたとか話題が尽きない。最近、資本の半分がロシアのものとなったと聞くが、驚きである。
上記の2軒に加え、レ・マッキオーレやカ・マルカンダが有名だが、実はそれ以外にも面白いワインを造っているワイナリーがある。その他のワイナリーは残念ながらあまり知名度が高くないのだが、ボルゲリDOCの銘柄を造るワイナリーは約40軒あるのだ。
ちなみに、これがボルゲリ地区の図だが、綺麗なブルー色がテヌータ・サングイド。オレンジ色がオルネッライア。そして、くすんだ青がボルゲリ地区では一番敷地が大きいアンティノーリ所有のグアド・アル・タッソ。
本日のツアーは、アンティノーリに隣接するワイナリー「ドンナ・オリンピア」へ(青紫色)。
ボルゲリ地区が一望できるすばらしいロケーションに醸造施設がある。所有する畑の面積は42ヘクタール。ボルゲリは全体的に海岸沿いの地区だが、ここは特に海に近いので見事に平地である。カヴェルネ・ソーヴィニオン、カヴェルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルドのいわゆるボルドーにみる葡萄品種を始め、8種類の葡萄品種を育てる。うち、イタリア海沿いではお馴染みのヴェルメンティーノも。
8月になると、葡萄も濃い紫に色づいている。
ステンレスタンクがずらり。施設は、省エネシステムとエコシステムを導入しているそうだ。
フランス製のオーク材の小樽バリックが並ぶ熟成庫を見学した後は、白ワインと赤ワイン合わせて5種類を試飲。
白ワインは15ヶ月熟成なので、ヴェルメンティーノらしい軽いバターっぽさが後味にほのかに感じられるが、ステンレスタンクの熟成なのでグレープフルーツなどの柑橘系のさわやかさがなによりも強調された夏らしい味わい。
赤ワインはIGTワイン(地酒)から徐々にランクアップしながらの試飲。徐々にまろやかで複雑に。全体的に色が濃く、落ち着きがあると同時に口の中に広がる存在感もある。
ワイナリーの方も言っていたが、ボルゲリワインを代表するサッシカイアとオルネッライアで例えると、どちらかというとオルネッライアに似たタイプを造っているとのこと。確かに、 サッシカイアはカヴェルネを使っているのに透明度もエレガントさも高いが(さすがにサンジョヴェーゼのような美しい透明感はないけれど)、オルネッライア は色が濃く存在感があるタイプ。
このワイナリーのオーナーは、グイド・フォロナーリ氏。イタリアに3つのワイナリーを所有し、Big Killer 3B’s/偉大なる3Bと呼ばれる。偉大なる3Bとは、バローロ、ブルネッロ、ボルゲリのことである。いずれのワイナリーもバリック使用のモダン派タイプのワインを生産する。フォロナーリ氏はニューヨークで数年過ごしたこともあり、アメリカを意識しているというのもあるのかな。そして、ボルゲリのワイナリーのエノロゴ(ワイン醸造家)はピエモンテ出身。だからか、フランス品種を使用したフランス風の味を造りだすのが上手なのかもしれない。
このワイナリーはお客様ご指名のワイナリーでしたが、楽しい発見でした。ありがとうございます。
高い試飲代のオルネッライアへ行くのならここのワインでも十分対等に張り合えるのでは?なんて、思うのである。
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