12月初旬に、あの「偉大なる」ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの造り手である「カーセ・バッセ/ソルデラ」のワインが、不届き者の手により排水溝へ流されてしまったというショッキングな事件が起こった。
夜中に錠を壊して醸造施設に侵入した悪漢は、ワインタンク・樽の口を開けっ放しにし、2007年から2012年の6年分のワイン62,600リットル(ワインボトル約83万本分?計算できない・・・)をすべて排水溝へ流した。
それ以外の被害はなし(!)。
ソルデラ氏は、保険をかけてはいたが(元保険会社員だし、抜かりはないはず!)それでも保険ではカバーできない損害を被ったことになる。
この事件に対するジャンフランコ・ソルデラ氏の声明はSolderaのHPで読むことができる。
意訳しますと・・・。
「みんな、気ィ使ってくれてありがと。ワインを愛し情熱を注ぐ者にとって、ワイン史上に残る許されへん事件が起こったけど、ワシ頑張るわ!負けへんで!前進あるのみやで!あ、それからブルネッロ協会の会員の有志がわしらのワイン分けたろ言うてくれてんけど、いらんねん。それ、今後のサンジョヴェーゼの研究にでもつこて。
あ、そうそう。12月3日から、今後しばらくはワイン売れへんようにしたわ。すでにワシのワイン売っているとこは勝手な値段つけてもええけど、ワシの特別なワインを愛好家が買われへんほど異常な値段はつけんといてや。頼むで。ほな。ソルデラ一家」
(カーセ・バッセのワイナリーと素敵な笑顔のジャンフランコ・ソルデラ氏の写真は拝借です。私が持ってた写真、どっか行ってしもて見つかれへん。ソルデラ氏への愛が足らんのかいな?)
この悲報はもうすでに日本でも流れているが、それにしても敵も大胆なことをやったもんである。まだまだ捜査中だが、元従業員の仕業か?との噂もあり、それが本当ならば「ソルデラって、どんだけアコギなことやっててん!」となるわけだ。
美味しいとはいえ、(個人的には)そんなんあり?と思う販売価格でもあったわけで。エノテカに対しても、この年代欲しいんやったら、あの年代も一緒に買わんと売らへんで的なアコギな販売方法を取っていたし。(全エノテカに対してかどうかは知らん)
もともと100ユーロはくだらないワインであったが(どうせ買われへんからソルデラの値段知らんねん)、この事件後、ソルデラワインの値段がうなぎ上りとなり、4,500ユーロ(年代は忘れた)にもなったとか!そりゃ、あかんで。一言ジャンフランコさんが物申すのも、当たり前や。
芸術作品とワインは、同じように楽しむものかもしれない。
要するに、鑑賞に作品そのものと作り手の背景を混同してはいけないということ。
人を感動させるモノが、作品として優れたものなのだ。
現に、ソルデラのワインは世界中の人を感動させている。
ソルデラ氏がどんなおっちゃんでも、そんなこっちゃどうでもええねん。(え?悪意ある言い方?いえいえ、頑固者という噂はありますが、悪い人ではございませんのよ。食文化向上のための努力は尊敬に値しますし。ただ単に「高すぎて買われへんねん!」という妬みからでございますよ・・・。)
日本人の中でも、ソルデラのワインでブルネッロを好きになったという方もいらっしゃるだろう。
そういう力を持ったワインなのだ。
だから、「それでイイのだ。」と、ばかぼんのパパなら言うに違いない。
100ユーロを越えるワインはいくつか存在するが、大抵、オリジナル性を売り物にするスーパートスカーナなどのほかと比べるのが難しいものが多い。
モンタルチーノ地区にはブルネッロを生産するワイナリーが250軒ほど存在する。そして、お値段は18ユーロぐらいから100ユーロを越すものまでさまざま。この値段の違いは何なのだろう?
美味しさの違い?確かに。100ユーロ払ったワインが普通の味だったら残念感炸裂だろうし、そういうワインは悪評が付く。しかし、100ユーロの値段がついても(年代ものならば1000ユーロでも)買いたいと思わせるワインは、どこが違うのだろう?
ただ単に美味しいからと言われるとそれだけのことだが、その美味しさと値段のバランスはどこにあるのか?
生産者の努力の賜物?
ブルネッロ地区には、無名でもコツコツとモンタルチーノ出身のオーナー自身が毎日、畑を見て、醸造施設を管理し、味見し、頑張っているワイナリーがいくつも存在する。ジャンフランコ氏も、北イタリア出身ではあるが、オーナー自身が管理するワイナリーのひとつである。
いくら頑張っても、ワインが美味しくないならそれまでだが(確かに、今一歩頑張れ!なワイナリーも多い。褒め言葉としても「将来性」という言葉でお茶を濁すというか。)、ブルネッロクラスのワインとなると、ほとんどのワイナリーが美味しくなるための努力を惜しまない。あそこは1本100ユーロ分の努力、ここは20ユーロ分の努力ってのはないだろうから、単なる努力代ということではない。
ワインは、いかに土壌に恵まれているかという運と、その運をどのように上手に表現できるかの才能が決め手で、それに対しての努力を怠っては(間違っては)、美味しいものができぬ。あくまで持論だが。
土壌に関しては、ソルデラの畑は、モンタルチーノの北東から東に広がる昔からの葡萄栽培地区と異なり、霧がでず、海からの光の反射があり、1年中海風が吹く気候で、火山であるアミアータ山の麓というモンタルチーノの南東に位置する。だから、従来の畑の条件と違う。故に、従来のブルネッロとは若干違うのだ。
現に、お隣のワイナリー「マテ」では、その違いを利用し、シラー、メルロー、カヴェルネなどの国際品種の栽培にも力を注ぐ。上手に利用すれば面白い土地となり得る。
そして、生産者の美味しさを見極める才能。これは付加価値という値段が付く。
ここの畑を購入したジャンフランコ氏は、新しい土地でありながら伝統を重んじ(外者だから、余計かもしれぬ)、より良いものを作るために大学の研究室とも共同研究を重ねている。要するに、大学と連携してなどの費用をかけた努力もあるというわけである。
ちなみに、この土地では、有機栽培とか、発酵に酵母を加えないなどは、特別な事項ではない。
才能、土壌、通常以上の努力、費用、これらが積み重なり値段につながるのだろう。何よりも才能という付加価値には、物申すことができぬ。素晴らしい才能には、惜しまずに報酬が払われて当然なのだから。
とはいえ、ワインはこうだああだというよりも、自分が100ユーロ払ってでも良い!結果、感動した!と思えたら、誰かが「あれがよい、これがよい」なんていう意見は意味を持たぬものなのだ・・・。
消費者にとっても、今後、ソルデラの空白の6年間は厳しいものがあるけれど、それでも畑は無事なので持ちこたえていくであろう。畑が燃やされずに済んで、よかった!(すでにめっちゃ儲けてるやろうし、経済的な心配はなかろう。いやいや、悪意はないんですよ。)
なによりも、この事件はソルデラが好きかどうかは関係なく、またソルデラだったからというわけでなく、どんなレベルのワインであっても費用と手間がかかっているのだから、ワイン愛好家にとってもはとてもとても胸が痛む出来事なのである。
追記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本日(18日)に、犯人が捕まりました。やはり元従業員の39歳のローマ人でした。動機は「怨み」。ソルデラ氏はどんなアコギなことを?と思いましたが(悪意あるのは私か?)、なんのことはない、「ここで働いたら、あの家をボクに貸してくれるっていうたのに、別の従業員に貸すなんて約束違反や!]というようなことだそうです。ほかにもちょいちょい小さな理由はあるかもしれませんが、これが一番の理由というのが、情けない。イタリア人の子供を見ていると、甘やかされてんなぁと思うが、こんな理由は子供のわがままで、事件はいたずらの延長上のようですね。出来心でやっちゃったというとこだろう。でも、彼が犯した罪は、ソルデラ氏に対してはもちろん、それに加えて全ワイン愛好家に対してもなのだから、罪が大きいにもほどがある。
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