春のモンタルチーノワイナリー訪問。
春の陽気が訪れたトスカーナ。葡萄も芽吹き、畑に賑わいを見せる。これから葡萄を収穫し醸造所へ運ぶまで、ワイナリーにとって楽しみと心配の連続であろう。さて、今年はどんなワインが出来るのであろうか。
春といえども太陽が雲に隠れると、高台にあるモンタルチーノの町に吹く風が冷たく感じられる。
穏やかに始まった4月のモンタルチーノを、ひとつの悲報が襲った。ブルネッロの代名詞だったと言っても過言ではないフランコ・ビオンディ-サンティ氏の死。この知らせは、ブルネッロを愛する人々に大きな衝撃を与えた。ワイナリーを訪問するとしばしば挨拶に出てこられ、「何処から来られたのですか?」と気安く話しかけて下さったフランコ氏。
先日もワイナリーを訪れる機会に恵まれ、またお会いできるかと楽しみにしていた矢先であった。
ワイナリーの案内係りのヤーナさんの「泣いてばかりいられない。氏の情熱を皆に伝えていくのが私たちの仕事。それがフランコ氏が望んでいること。今も空から私達を見ているのよ」と、氏のお気に入りであったという97年のワインを試飲させていただきながらお話を聞いた。「これをお客様にきちんと伝えねば!」とぐっと涙を飲み込んむ。ビオンディ・サンティのワインはイル・グレッポという土地そのものと、フランコ氏の情熱が凝縮したワインである。
そんな感傷に包まれながら見上げるモンタルチーノの要塞は、どれだけの歴史を見てきたのであろうか。
次に驚かされたのが、カーセ・バッセのソルデラ氏である。
彼の6年間分のワインが排水溝へ流されてしまった事件は記憶に新しいが、それに対しての判決が下った。4年間の懲役。たった4年?せめて6年では?と不満が残るが、驚きはそれではない。
ソルデラ氏がブルネッロ・ディ・モンタルチーノ協会から脱会を発表した。(2015年から脱会)
っていうことは、ブルネッロの銘柄は造れないってことやね?!いずれにしても、元になるワインがないのだから2017年まではブルネッロを造れなかっただろうけれど・・・。(それでも、継ぎ足し用として別途保管していたワインがあるので、極少量だが2006年ボトルが発売されるらしい。どんな値段になることやら・・・)
あれほどブルネッロの品質を守るのに全力を尽くされていたのに、残念である。
脱会理由は、ワイン流出事件で打撃を受けたソルデラ氏に、ブルネッロ協会の有志メンバーが自分のワインを寄付し、善意のワインとしてカーセ・バッセの名で販売してもらい、その売り上げを損失に少しでも当てて欲しいと提案したのだが、ソルデラ氏は「いらん」と拒否。しかも「そんなん、どんなワインかわかれへんものソルデラの名で売られへんわ!ソルデラの名で買ってくれた人を騙すことになるやんか」と発言したことに対して、なぬッ?!人の善意を失礼な!と協会側が怒り、ソルデラ氏を侮辱罪で告訴し、退会を命じたそうな。
協会としては、ブルネッロにソルデラ氏の名が無くなるのは打撃であろうと思うのだが、どうなることやら先が気になる話題である。
数年前のブルネロッポリ(ブルネッロにサンジョヴェーゼ以外の品種が混じっていた事件)といい、小さいな町は今日も世界を驚かすセンセーショナルな話題に尽きない。
オルチャ渓谷には緑の季節です!
野生のポリジもたくさん咲いている。日本にいるときはポリジってちょっと貴重なハーブだった気がするが(今は違うのかな?)、所変われば、である。
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