フィレンツェのドルチェ。
イタリア語で「バール」と呼ばれる喫茶店は、イタリア生活に欠かすことのできぬ要素である。
19世紀には、共和国広場にあるバール「イ・ジッリ」をはじめとする、今では老舗と付くバールで文化・芸術・政治の議論に花が咲いた。フィレンツェにある多くのバールは、今でも朝からイタリア人、観光客で賑わう。
今回は3つのタイプの違う人気バールを訪れ、そこでお菓子を比較してみた。
Dolci&Dolcezza
Piazza Beccaria 8/r
ここはすでにフィレンツェ美食本にも紹介されているし、ほかの方のブログにも度々登場しているので、日本人にとっては有名店であろう。
見た目がなんだかオーストリア調というか、要するに高そうだしそれ程惹かれなかったので今まで行く機会がなかったが、お菓子作りのプロの友人が「美味しい」と言うので、試してみた。
店頭には丸型ケーキが美くしく飾られている。
これがトルタたち。見た目も上品である。迷うなぁ・・・。
迷った挙句、ラズベリージャムにラズベリーがちょこんと乗っている姿に惹かれ、選んだのはコレ。お味はですねぇ、美味しい!!!これって、これって、すごーく美味しい!何ていうの?フランス菓子ってのかしら。ほかのところで食べるお菓子とは全く別物。バターがたっぷりとでも?それとも使用するバターが違うの?もしやこれがフィレンツェで一番美味しいお菓子かも?!そういっても過言ではない。しかしこれはフランス菓子なので、イタリアの味とは違う気がする。ついでに、お店のお姉さんがちょいと怖かった・・・。
お値段は、日本並の値段です!(とはいえ、日本人にとって、イタリアでのバールやレストラン等の値段は安いそうなので、これも安い分類に入るのか。)しかし、この品質ならば、小さくてこの値段もアリなのかも知れぬ。たまにはフランス風な、というか日本風というのか、お菓子が食べたくなったときは、非常によし。珈琲も飲める。
次は、フィレンツェっ子に大人気の庶民派バール。
アンティーク市が立つチョンピ広場先にある
Pasticceria Nencioni
Via Pietrapiana, 24/r
パスティッチェリア(菓子屋)であり、バールでもある。パステッチェリアでもあるので通常よりもケーキの種類が多い。地元の人たちで賑わう人気のお店だ。込み合っている時はのろのろしていたら順番を飛ばされるけれど(選んでいる途中なので当たり前だが)お店の人たちも親切で、ほっとする。
レストラン以外でイタリア人が食べるお菓子が勢揃い。2枚目の写真のTortina Deliziaは、その名も「歓喜のトルタ」。歓喜の声をあげるほど美味しいというのかな。スポンジケーキ(アプリコットジャムをはさんだり、洋酒につけたりと様々なアレンジがある模様)に、アーモンドの粉と砂糖と卵などを混ぜた生地を網目模様にのせて焼いたもの。フィレンツェもアーモンドを使用したお菓子を好むし、うちの旦那の大好物でもあり、故にフィレンツェ人が好きなお菓子と勝手に思い込んでいたが真相はどうなのだろう?
見た目がサツマイモのお菓子みたいで、惹かれる~! ほくほくというよりはサクサクなんだろうけれど、しかも甘いのか塩味なのか?食べてみたい・・・。
このお店は、2月になると季節のお菓子として登場する「スキアッチャータ・アッラ・フィオレンティーナ」が自慢の品である。某新聞紙がフィレンツェでこのお菓子を販売するパスティッチェリア数軒に点数をつけたことがあるが、このお菓子で有名な「ジョルジオ」と並んで高得点を得た。一切れから購入できるので、この季節にフィレンツェにお越しならば、ぜひお試しあれ。
さて、私は一度目はチョコレートタルトを、2度目にはトルタ・デッラ・ノンナを。チョコレートタルトは、これでもか!というほど濃厚で、美味しいけれど半分の量で充分かなといったところ。トルタ・デッラ・ノンナは、お馴染みのフィレンツェの味で、安心して食べれる。安心して、というのも変な表現だが、ああ、フィレンツェにいるというのを感じることができるというのか。庶民の味とでもいうのか。フィレンツェの人々って普段はどんな味のお菓子を食べるの?というのが知りたい方は、どうぞ。
最後に
Caffe’ degli artigiani
Piazza della Passera
なんていうの?お洒落?気取った洗練さではなく、自然な雰囲気で素敵!!!!大好きなバール♪
今日のケーキは、ラズベリーのタルトとチョコレートケーキ。
ええ、ええ、その通りです。ご覧のとおり、これもイタリアって感じはしません!どちらかというと、イギリス風?(わからんけど、言ってみた)ラズベリーケーキなんて外はかりっと中はしっとり、チョコレートケーキは甘みも抑えられてしっとり感も抜群!
以前、珈琲を飲もうと立ち寄ったら美味しそうなチーズケーキを発見。その日はあまりにもお腹一杯だったので食べるのを諦め、後日その話をお菓子作りのプロの友人に話すと、「それ、食べたことある!美味しいよね!」というではないか!あれ以来、なかなかチーズケーキにはお目にかかれないけれど、いつかは食べてみたい。
このバールがあるのは、パッセラ広場というとても小さな広場。その小ささに広場というよりも一角というほうが似合うほど。最近は狭いながらもベンチも置かれてそこでくつろぐ人々もちらほら。バールで、ケーキとか、ワインとかを買って、外のベンチに座って楽しむのも、乙である。バールの珈琲も「あれ?」と思うほど、とても美味しい。(これは、日によって違いがあるかも・・・。)
この広場にはほかに、ジェラート屋(なかなか美味しいのである)、トリッパで有名な「イル・マッガジーノ」、行ったことはまだないがガイド本に頻繁に載っているトラットリア「クワトロ・レオーニ」、べジタリアンレストラン「5・エ・チンクエ」など、興味深いお店もあり、活気のある広場なのだ。
近々、お菓子作りのプロの友人が広場にある短期滞在型アパートを貸し出すようなので、乞うご期待!
お菓子の好みは人それぞれなので、これが一番!とお勧めするのは難しいけれど、私は最後のバールのケーキが一番気に入った。このタイプが一番好きだからかな。フィレンツェでお菓子を自慢とするバールはまだまだあるので、更に試してみたいと思うのだが、夏が来るというのにこれ以上食べると恐ろしいことになりはせぬかと心配しつつも、食べ続ける私である。
パッセラ広場近くの路地に、満開の白い花が咲き乱れていた。