フィレンツェのサルヴァトーレ・ロマーノ財団博物館
フィレンツェにはウッフィツィやアカデミア、パラティーナなど、世界に誇る偉大なる美術館・博物館が幾つか存在する。それとともに小さい美術館もフィレンツェ中に数多くあり、それらはピッコリ・グランディムゼイ(小さくともすばらしい美術館)として親しまれている。
先日、その中のひとつ「サルヴァトーレ・ロマーノ財団博物館」を訪問した。
サルヴァトーレ・ロマーノ財団博物館はサント・スピリト教会の左手にあり、14世紀に建設された教会の食堂であった建物である。
壁面には、アンドレア・オルカーニャとその弟ナルド・ディ・チョーネによる、教会の食堂にはつきもののフレスコ画「最後の晩餐」、そして「キリスト磔刑」が残っている。壁に扉を開けたために大部分のフレスコ画が破損しているのが残念だが、素朴な作品は木造天井の簡素な建物にしっくり合う。
館内には20世紀初頭のアンティーク商人であったサルヴァトーレ・ロマーノが収集した作品が展示されているのだが、これと言った作品はない。強いて言えば、ドナテッロの作品の一部であろうか。そう思うとたいしたことはない博物館なのだが、何か気になる博物館なのだ。
何が気になるかと言うと、サルヴァトーレの意気込みである。彼は「売れるための商品」を集めたのではなく、「自分の好み」に合った作品を集めた。売れるための作品もあったのかもしれないが(それらは売れちゃったのかも)、この博物館には明らかに彼の好みを表す、なんというかほっこりとした作品たちが並ぶのである。
例えば、こんな感じ・・・。
このプリミティブさがたまんねぇ~!と、ロマネスクやロンゴバルディとかがお好きな人は感じるかもしれない。何のシーンなのでしょう?キリストが天国の鍵をペトロに渡すところ?その上の「ウハッ!」って人は誰よ?
ジーッと見てたら、引き込まれます・・・。
ちょっと有名所で、ティーノ・ディ・カマイーノの作品。
この丸っとした感じ、風が吹いているような流れ、ティーノ・ディ・カマイーノは14世紀の彫刻家なのにモダンアートのようにも見える作風。良いですねぇ。
こんな感じの微笑ましい作品が多い。あと、竜とかライオンとかもファンタジー作品にでてくるような浪漫派風の味わいで非常に楽しい。
サルヴァトーレは1955年にフィレンツェで亡くなるが、なんと!この博物館に眠っているのだ。
これね、彼の石棺。5-6世紀のラヴェンナ風の丸い石棺に孔雀とXとP、AとWのキリストのシンボルが書かれている。自分が好きで集めた作品の中で永遠に眠るなんて、ロマンチックではありませんか。
展示作品に感心するというよりも、作品収集家に思いを馳せる「サルヴァトーレ・ロマーノ財団博物館」、開館日時は月・土・日の10時から16時まで。フィレンツェカードも使用可。そうでなければ3ユーロ。上述のような作品がお好きな方は想像力を膨らまして楽しめます。
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