フィレンツェとコロナの現状について。
秋にコロナ第二波が来ることは、すでに予想されていたことではある。10月25日付けでイタリア全土で陽性患者525,782人うち新規感染者222,241人。トスカーナ州は陽性患者31,290人うち新規感染者1,863人で、イタリアで7番目に多い。
長期のロックダウン後にやって来た夏、気持ちの良い夏の夜に外出するなというのも、ヴァカンスは自粛せよというのもイタリア人には難しかった。サマータイムが終わった今、早まる日暮れに過ぎた夏を偲ぶ。寒く暗い冬を思うと、イタリア人でなくとも光に溢れた夏を思う存分楽しみたいのは当然の権利のようなものだ。
トスカーナ州の県別感染者数の表を見ると、フィレンツェがダントツで感染者数が高い。
コロナに備えてトスカーナ州は病床数を追加しつつあるが、フィレンツェではコロナ病棟は既に満室だと聞く。娘の同級生も陽性で自宅待機中、隣人の教師もクラスが隔離期間中、知り合いは咳が出ると検査に行った。まるで目に見えない殺人鬼の足音だけが聞こえ、いつ殺されるかわからないホラーのようである。
欧州の感染者数比較をみると、春から初夏にかけて思い切った政策を取った甲斐があり他国に比べてイタリアは少しマシだ。全く楽観できないが。
10月25日付の首相令で、月曜から土曜までは飲食サービス業は18時閉店を余儀なくされる。レストランもテーブル着席は最高4人までとなる。プロを除くスポーツ施設禁止、劇場、コンサート、映画など閉鎖だが、美術館・教会は開館、ただし人数制限と1mの距離を保つこと。特別の場合を除いてテルメは駄目だがエステ・美容・理容院はOK。家族以外の人々の家庭訪問は控えなければならない。高校は最低75%が自宅からオンライン授業となる。トスカーナ州の教育機関に関しては月曜に州知事から方針が発表されるはずだが、政府発表と異なるのだろうか?そして、地元の季節の催事は全て中止。この法令は10月26日から11月24日までと今のところ期間限定だが、ちょうどトスカーナの白トリュフ祭りと重なる時期である。11月はワインの試飲会も多い時期だ。先日訪れたワイナリーでは、月曜日にミラノの試飲会でボトルを開栓して準備した後に中止が決まったと嘆いていたが、聞いてる方も泣けてくる。
家でゴロゴロするのが好きな私だが、たまの気晴らしに外で友達と楽しむワインもまたしばらく据え置きかと思うとやはり寂しい。
Facebookで私の好きなエノテカが2軒ともお昼はやってるから!と訴えているのを見ると胸が痛む。行って応援したいと思うが、私自身、ガイドの仕事がゼロなのでそうもいかない。長い冬を乗り越えることができるようお互いに頑張るしかない。
写真のサント・スピリト広場はいつも賑やかであるが、流石に今は閑散としている。どちらにしても寒さも増すので外で集まろうと思わなくなるだろうが、ここは外の座席で美味しい食事とともにワイングラスを傾けるのに適した広場である。来年の夏には、いつも通りの広場に戻っていたらいいな。
ちなみに外出禁止をコプリフォッコと呼んでいるが、コプリーレ・覆う+フォッコ・火で火を覆う=灯を消すという意味で、中世、火事防止の為、夜の鐘の音と共に灯を消すことをこう呼んでいたことから。なかなかに上手いネーミングである。言葉のセンスはイタリア人は上手だなといつも感心する。
先日、水泳のペッレグリーニ選手がコロナ陽性でビデオ報告した際に涙を流したのが印象的だった。肺が命の水泳選手、キャリアの終盤とはいえまだまだ活躍していたのを思うと辛い。彼女に限らず、できれば誰もコロナを患いたくない。
屋外で個人の運動は可能なので、晴れた日は自転車で気晴らしできるのはありがたい。ただし、市内のみ。
クリスマスには通常に戻るために、しばらくの辛抱である。
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