フィレンツェのクリスマス

フィレンツェのクリスマスイルミネーション2020

冬の夜のフィレンツェを、久しぶりに散策。12月8日にライトアップしたドゥオモのクリスマスツリーを見るために。

フィレンツェのクリスマスイルミネーション

最後に中心街に来たのはいつだったろうか。1ヶ月過ぎただけであるが、懐かしさが半端ない。今年はコロナ禍で、フィレンツェ市が設置する飾りのほかは、残念ながらフィレンツェの通りでクリスマスイルミネーションはほとんど見られない。

ドゥオモ前にはテラコッタ製のプレゼーピオは、フィレンツェ近郊のテラコッタの町インプルネータのテラコッタ職人ルイージ・マリアーニ氏(M.I.T.A.Lマリアーニ社)がドゥオモに寄付した聖家族の像である。トスカーナの色をした土の温かさからか、心が安らぐ素晴らしい作品だ。

拝借したお昼時の写真だが、右側を見て欲しい。誰、この女性?まだイエスは生まれていないから、羊飼いでも東方の三博士でもないし、女性だし?と疑問に思い調べてみると、平和の鳩を抱くこの女性像も同テラコッタ職人の作品で、最近、ご早世した奥様へのオマージュだそうだ。中世の絵画に依頼者の姿が描かれるが、そんな感じでもあるし、愛が込もった人間らしさがフィレンツェらしい。

メルカート・ヌォーヴォは密を避け、出店数が少なく寂しいばかりだ。金曜日の夜だったのでそれなりに人はいたが、やはり勢いがないのは否めない。歩きやすいのだけれど・・・。

縮小版ではあるが今年も開催されたフィレンツェのクリスマスの光の祭典FーLight。ヴェッキオ橋に投影されるプロジェクトマッピングが面白く、毎年、見に行くイベントである。ダンテ没後700周念なので、今年のテーマはダンテ。ダンテの神曲地獄編の最後部で、暗い地獄を抜けたダンテは案内役のウェルギリウスと共に明るい世界へ戻り、再び空の星を仰ぐ。フィレンツェの市長は現状とイルミネーションを、そんなダンテになぞらえた。コロナ禍という地獄の沙汰から抜け出し光り輝く星の世界へ向かって行く将来を願い、観光で成り立つフィレンツェ市の財政が逼迫した今年もあえてクリスマスイルミネーションを実施した。今年ほど、光り輝き胸に迫るイルミネーションはない。

 

この通り、どこかわかりますか?フィレンツェを訪れた方ならきっと歩いているはず。ヴェッキオ橋からピッティ宮殿に向かうグイッチャルディーニ通りである。観光客のいないこの時期を選んで工事をするのは正しいだろうが(とはいえ、どんなに人気の観光場所でもハイシーズンだろうが堂々と工事をしているのがイタリアなのだが)、やはり寂しい。

ドゥオモからヴェッキオ橋、ピッティ宮殿への道はフィレンツェで最も華やかな目抜き通りであるが、どこもイルミネーションがない。イルミネーションは通り沿いの商店が費用を負担するので今年は設置しないと決めた彼らの判断は当然だろう。しかし、フィレンツェのブランド街トルナブォーニ通りは違う。今年も楽しませてくれた。

毎年、トルナブォーニ通りの飾りは煌びやかで本当に綺麗。過去2年間、星降る夜のイメージだったが、今年は天上に輝く星みたいで素敵。

ディオールのショーウィンドウがとても楽しい!

ストロッツィ宮では、南イタリアのルミナリエを模したマリネッラ・セナトーレの作品が展示されていた。「他人を勇気づけながら、自分自身を元気づけよう」がテーマで、コロナ禍の中で人との繋がりを考え直そうというメッセージ。ルミナリエはデザインがキッチュだといつも思うが、それでも驚きと感嘆をもって人を惹きつける大きな力がある。

ディオールの装飾と似ているのは、マリネッラがディオールのショーとコラボしているからなんだね。

ストロッツィ家の紋章は3つの三日月だけど、ミュージアムショップ入り口の三日月まで光ってた。いつものことかな?

鈴の通路が楽しくて可愛い。自分の写真は顔が暗く、黒い帽子に黒いコート、紺色のマスクでテロリストみたいだったが、他人様が愉快にポーズをとる姿はとても絵になる。

教会にも似合う装飾。特にバロック様式の教会にぴったり!

今日からイタリアのほとんどの州が黄色ゾーンになったのに、トスカーナ州は無念のオレンジゾーンのまま。今年は本当に静かなクリスマスとなる。何色ゾーンでも我が家はいつでも家族4人と変わらないけれど。それが一番だと改めて思える今年のクリスマスシーズンである。

この記事をシェアする

Facebook
Twitter
Pinterest

関連記事