トスカーナのDOCG モンテクッコ
現在、トスカーナのDOCGは11。その中で、2011年にDOCGに昇格した地区がモンテクッコだ。かつて私がソムリエコースを受講した時、教師軍が注目の地区として褒めていたこともあり、それ以来、私も旦那もモンテクッコがお気に入りの銘柄の一つとなった。
とても素敵なご家族が経営しているモンテクッコのワイナリー「パルモレティーノ」をご紹介したい。
このワイナリーとの出会いは偶然だった。宿泊を伴うツアーをご案内した際、お客様とは別に私たちが宿泊したのはモンタルチーノの南の端にある小さなB&B。気さくなオーナーのジュリアーナさんと世間話しをしていたら、彼女がモンテクッコのワイナリーをお持ちと知った。ワインを試したらとても好きなタイプ!とうことで、早速、ワイナリーにお邪魔させていただいた。
モンテクッコとは、シエナ県のモンタルチーノの南、オルチャ川を越えたグロッセート県に広がる地区だ。「パルモレティーノ」はモンタルチーノからグロッセート県に入ってすぐの2ヘクタールの葡萄畑を所有する家族経営の小さなワイナリーである。
発酵はステンレスタンク、醸造はオーク樽だ。醸造施設は自宅下にある小さいながら清潔で整っている。
ワインは2種類。青ラベル「フォンド・ディ・ピオ」はモンテクッコ・サンジョヴェーゼDOCGで、赤ラベル「スカラフォーネ」はモンテクッコ・ロッソDOC。ん?DOCGとDOC?
モンテクッコ・サンジョヴェーゼDOCGはサンジョヴェーゼ最低90%、モンテクッコ・ロッソDOCはサンジョヴェーゼ最低40パーセントなのだそう。ややこしすぎ!
裏ラベルに書いてある「Imbottigliato all’origine da 」という文が重要である。なぜなら、「all’origine 原産から」という言葉が抜けた「Imbottigliato da(ボトル詰め)」とだけ書いてあるボトルも存在するからだ。それは他社から購入したワインをワイナリーで「ボトル詰め」だけをした場合を指す。一方、「all’origine 原産から」が記載されていると、葡萄生産からボトル詰めまでワイナリーが行ったことを意味する。
マルコさんがボトルを開栓してくださった。青ラベルは100%、赤ラベルは90%のサンジョヴェーゼの割合だ。赤ラベルの残り10%はカヴェルネ・ソーヴィニオンである。
ちなみに、モンタルチーノの地区はサンジョベーゼが主体だが、それ以外の国際品種となるとメルローが多いと思う。モンタルチーノでも南側へ行くとカヴェルネやシラーを見かける。モンテクッコはさらに南なので、カヴェルネも相性が良いのだろう。ここから1時間ほど南に下ると国際品種で有名なボルゲリ地区 に到着する。
「パルモレティーノ」のサンジョヴェーゼは、美しい。南トスカーナらしい暖かい飲みやすさに加えて、香りがグラスで変化していくのが楽しい。隠れたように存在する小さなワイナリーで、これほど素晴らしいワインに巡り会うとは!全くもって嬉しい驚きだ
お料理上手なジュリアーナさんがおつまみを作ってくださったのだが、これがまたワインに合う!めちゃくちゃ美味しくて感激した。是非とも何らかの形でワイナリーツアーに加えたい。
B&Bもなさっているので、小さなワイナリーを巡る宿泊ツアーを希望される方はご連絡ください。(こちらのB&Bは気取りのない宿タイプです)
最近、トスカーナの有名大手ワイナリーが他所からワインを購入していた疑惑が発覚した。大手にワインを販売した会社は、リクエストに合わせてワインの色、味、アルコール度数などを化学的に左右できると言っていた。現在、裁判中なので結果はわからないが、そうすると私がスーパーで買っている日常ワインもよくわからない出所のワインもあるのだろうなぁ。
この世には大手企業が投資した驚くようなお値段のワインがある。それらはきっと間違いなく美味しいだろう。しかし生産者が見えないワインはどれだけ有名でも裏では何をしているかわからないということを知ってから、大きさや知名度に関わらず信念のある正直な生産者のワインを飲みたいと思う。そんな正直者のワイナリーの一つが、「パルモレティーノ」である。
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