ピエロ・デッラ・フランチェスカ「出産の聖母」
トスカーナのアレッツォ県にある小さな村モンテルキ。ここにピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画『出産の聖母』がある。
大きくなったお腹にそっと手を乗せ、誇らしげに、しかし初々しさの残る聖母が印象的な1枚。天幕を開ける天使たちが左右対称で色が反転しているのがピエロらしい。天幕の中に立つお腹の大きい聖母マリアと2人の天使。それだけのフレスコ画の中に、ルネッサンス美の中に読み解く宗教的思想と、何よりも深い安心感が得られる。この安心感は、多くの人々の中にある母という心像に直結するからか。
いつまでも眺めていたい。
このフレスコ画はモンテルキの村から少し離れたサンタ・マリア・ディ・モメンターナ教会のために描かれた。かつては妊婦が安産のお祈りに来たという。大きいお腹で歩くのが大変と思う反面、いい運動で安産には良かったのかとも思える。
現在フレスコ画は、村の旧小学校を『出産の聖母』美術館と改築しそこに所蔵されている。ちなみに、妊婦は美術館の入場料が無料となる。
『出産の聖母』を満喫した後は、丘の上の小さな村モンテルキを散策する。村の食料品店には特産品の豆類や蜂蜜、果ては地元のワイナリーが醸造したピエロの名前を冠したワインもある。おじいちゃんたちが狭い店の中でおしゃべりに花を咲かすイタリアらしい風景。
ピエロ・デッラ・フランチェスカを求めて。
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