マウンテンバイク・ルネサンスの輪 / 1

「L’Anello di Rinascimento/ルネサンスの輪」と呼ばれる道がある。フィレンツェのドゥオモの、ルネサンスのシンボルであるブルネレスキ作丸屋根を中心に、その周りを１周する全長170km強の散策道だ。街中を通る一部の道は割愛して数日に分けてこの「ルネサンスの輪」をマウンテンバイクで制覇することにした。

まずは北西部を走ることに。フィレンツェの北西部にはモレッロ山が聳える。聳えると書くと標高の高い山に思えるが1000mに満たない山で、「ルネサンスの輪」散策道はモレッロ山の一部を通る。モレッロ山へは山麓にあるカレンザーノ市から登る。カレンザーノ市は工業地帯のイメージが強いが、実はオリーブの街でもあるのだ。それ故、モレッロ山を登る道はオリーブの林に囲まれて想像以上にトスカーナらしさが溢れた美しさだ。

私の大好きな西洋菩提樹の大木。初夏、花が満開に咲き、辺りに甘い芳香を惜しみ無く放っていた。この下に立っていると、最大の癒し効果！

エニシダの道が素敵！明るい黄色のエニシダの素晴らしい香りに包まれて自転車に乗ると疲れが和らぐのが不思議である。

香りが良いのは、カレープラントも負けてはいない。カレープラントは学名ヘリクリサム。ギリシア語源で ヘリオスhelios は太陽、 クリソスchrysos は黄金から名付けられている、黄金の太陽！まさにこれからの季節にぴったりな名前の花である。

花に誘われてか、驚くほどの数の蝶々が舞っている。石がゴロゴロした軽い登り坂を自転車で走るのは思ったより大変でのろのろと進む私を追い越すわけでも遅れるわけでもなく、自転車の周りを飛ぶ蝶々の姿は頑張れと応援してくれているようだ。

標高500mほど登ってきた！高台からの眺めの心地良いこと！この日は浮かぶ雲も素敵だ。

Fonte del Cigliegio 桜の泉を目指して走ってきたが、ようやく到着した。この泉のある道が「ルネサンスの輪」散策道の一部である。

山の水は美味しい。透明で綺麗な水が流れていたが、排水口の汚れを見て給水するのには気が引けた。そっと手を浸してみると、夏の暑さがすっと収まる水の冷たさが気持ちいい。きっと美味しいだろうになぁ。

こんな感じで走った。町から少し行くだけでこれほど自然を満喫できるとはマウンテンバイクのお陰である。