ホーム blog » 12月のオルチャ渓谷 冬の陽光に輝くオルチャ渓谷 12月のオルチャ渓谷, トスカーナ, 世界遺産 2018-12-12 冬のオルチャ渓谷へ。 冬の晴日は、朝夕の気温の差で霧が出ることがある。今朝はフィレンツェのドゥオモの赤い丸屋根がすっぽりと霧の中。うっすらとかかる霧のフィレンツェを後に、オルチャ渓谷へ。 吹く風は冷たいが、気持ち良く晴れ渡る空の下、長い影を落とす糸杉たち。今日もよろしく、オルチャ渓谷よ。 青空に映えるサン・クイリコ・ドルチャの教会。軽くカーブをなす道から見える姿の美しさよ。まるで計算されたような角度から、イタリア人の美的感覚の鋭さを思い知らされる。 オルチャ渓谷のシンボル「ヴィタレータ礼拝堂」は、オルチャ渓谷で最も写真撮影される風景の一つである。糸杉に挟まれた白い礼拝堂。ここに昔、受胎告知を受けて戸惑う表情のマリア様像があった。アンドレア・デッラ・ロッビア作の雪のように白く清らかなマリア様である。19世紀から、サン・クイリコ・ドルチャの村に移された。 世界遺産の街ピエンツァの大聖堂。広場にはクリスマスツリーが設置されている。1月6日のクリスマスシーズンまで、冬眠中だった街に束の間の活気が戻る。 ピエンツァのクリスマスは、例年、果物をモチーフとした飾りで彩られる。 ルネッサンス時代に活躍した「デッラ・ロッビア」一族の作品に登場する果物や花の縁飾りにとてもよく似ている。ピエンツァはルネッサンスの宝石と呼ばれるが、この飾りはまさにそれに相応しい。 陽の光に輝くオルチャ渓谷。丘に伸びる道はローマまで続く。今となっては歩いてローマへ行く人はほとんどいないだろうが、中世には商人、巡礼者、領主、兵士、教皇、様々な位の人々がそれぞれの目的を持って行き交ったことだろう。 12月のオルチャ渓谷は、低い陽の光が、連なる丘に独特の明暗を作り、いつも以上に景色が絵画的に見える。 丘のうねりがよくわかる。これでは耕すのは大変だろう。よくこのままの自然を保ちながら手を加えたものだと感心する。これが世界遺産の故である。 お昼は静かな村にて。ここのレストランを知って、もう10年近くになる。オーナーのシニョーラは、私が仕事を始めて最初に出会った方のひとりである。「美味しい食事が人々にどのような影響を与えるか?」ということを教えてくれたシニョーラ。とても人気があったのに、残念ながら12月で店を畳む運びとなった。最後にここでシニョーラに会えてよかった。終業とは言え彼女がこの村で営業しているもう1軒のレストランは健在だからまた会えるのだが、それでも一つの歴史が終わったことになる。 ノスタルジアに耽りながらこの美しい景色を眺めていると、アメリカ人観光客と地元のおじさんの会話が耳に入った。素晴らしい景色ねという褒め言葉に、そうだと目を細めて景色を見つめるおじさんが話しを続ける。 季節によって表情が違うんだ。冬は小麦が芽生えて見た通りの風景が広がるが、初夏には丘は緑で覆われる。夏に小麦が刈り取られ、秋は土色の中に点在する黄葉した森が美しい。どこかに旅行しても三日もしたらこの景色が懐かしくなんだ、と。オルチャ渓谷の景色がおじさんの人生に重なる。 この日のお客様は大学生の男の子たち。息子のような彼らを前にオルチャ渓谷をどう調理しようか?と考えるのも不要で、オルチャ渓谷が俺にまかせろと言ってくれたかのような美しい1日だった。非常に心遣いのある行儀の良い子たちで、私も旦那も気持ち良くご案内ができた。 ブログランキングに参加しています。よろしければ、応援クリックお願い致します。 にほんブログ村 人気ブログランキング オルチャ渓谷ツアー オルチャ渓谷の4つの村ピエンツァ、モンタルチーノ、サン・クリイコ・ドルチャ、モンティッキエッロを巡ります。 ツアーページ この記事をシェアする Facebook Twitter Pinterest Tomoko easyfirenze.com ワインとチーズソムリエの資格を有するイタリア政府公認ツアーガイド・添乗員。 ワインと花と本が好き。自転車でトスカーナを巡る2児の母。 Prev前へレオナルド・ダ・ヴィンチ博物館@フィレンツェ 次へレオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿@ウフィツィ美術館Next 関連記事 ヴィンチ 小さな村の物語ツアー ヴィンチ・サンミニアート・チェルタルド 私たちが提 続きを読む » 2025年1月29日 カステリオーネ・ドルチャ カスティリオーネ・ドルチャ オルチャ渓谷の村カスティリオーネ・ドルチャ エスプ 続きを読む » 2025年1月28日 チンクエテッレ 年末のツアー「ピサとチンクエテッレ」 ピサとチンクエテッレ 年末はリクエストにお応えして 続きを読む » 2025年1月7日 アレッツォ アレッツォ訪問(5)ランチ アレッツォでランチ 街並み ドゥオモ ピエロ・デッ 続きを読む » 2024年12月13日 « 前のページ 次のページ »