オルチャ渓谷の道。
中学の美術の教科書に1本の並木道が描かれた絵画が載っていた。
風景の奥へと伸びる1本道。街路樹はポプラだったように記憶する。私が育った大阪の下町ではまず見ることがない情景だったので、この構図にとても惹かれた。画家が誰であったか覚えがないが、ロンドンのナショナルギャラリーでその絵に久しぶりに再会したときは非常に感激したのを覚えている。
樹木が並んで植えられた1本道が続くという私の憧れの風景が広がるトスカーナの田舎。
砂利道はイタリア語で白い道/ストラーダ・ビアンカ。
ここトスカーナでは、太陽の光にまぶしく光る白い道が緩やかなカーブを描き、糸杉がその両脇を飾る。
私が絵画で見た道は、ひたすらにまっすぐ伸びる道であった。
右や左へゆったりとした美しい曲線をもつトスカーナの道は、まるで「人生のんびり行こうよ」と言わんばかりである。
上へ上へと育った糸杉を見上げると、抜けるような青空が広がっていた。
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