2月のオルチャ渓谷の思い出

2月オルチャ渓谷の思い出

2月のオルチャ渓谷の思い出

この季節になると、思い出す。あの日、ツアーで灰色の雲の下に雪を残したオルチャ渓谷へご案内したのは、2人の看護師のお客様だった。

寒さはまだ厳しいものの雨に降られず。冬のツアーの天候はそれだけでもまずはOKで、これと言った問題も起きずにオルチャ渓谷のいくつかの村々を訪れた。一見、全てがスムーズにいった風に思えたのだが、お客様の質問に私の力不足から出た返答を今も思い出すと悔やんでしまう。

その質問とは「この時期もお客さんは多いのですか?」というものだった。

個人ツアーに関しては、冬、特に2月はお客様が減る時期である。そんなことを答えて、そこに「まぁ、寒い時期ですから日本で温泉入っている方がいいですよね〜」などど付け加えてしまった。

バーニョ・ヴィニョーニ

それを聞いたお客様は「私たちはこの時期しかお休み取れないんですよね」と苦笑いした。しまった!と思い、そのあと私はなんだかんだと言葉を濁した気がするが、せっかくの休暇に、せっかく私たちのオルチャ渓谷ツアーを選んで下さったのに、心ない言葉だった。

思い込み過ぎかもしれないが、今なら2月のオルチャ渓谷の素敵さを色々とご紹介出来ただろうなと思うとなおさら残念である。経験の足りなさから出たこの失言は、もう10年ほど前の話だ。

村

名のあるピアニストの「どれだけ練習しても完璧に満足することはない。弾いては、こうすれば良かったああすれば良かったと反省する。反省してばかりなのに何故弾くのかと問われると、楽しいから」というようなインタビューを読んだことがある。

これはガイドの仕事にも言えることだと思う。ピアニストは反省ばかりしているわけじゃないのよと言葉を続けたが、その通りで時には「よっしゃ!」と思うこともある。経験を積むとともによっしゃの回数も増えてきた。とはいえ、反省も山積みではあるが。

2月のあの日の私に助言が出来れば!と思うが、これは経験として心に刻み、次のお客様に還元するしかないのだ。

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