聖母の聖なる帯礼拝堂
フィレンツェの隣町のプラートは、聖母の「聖なる帯」の街として知られている。「聖なる帯」の聖遺物は、プラートの聖ステファノ大聖堂の礼拝堂に大切に保管されている。
過去に何度か大聖堂を訪れたことがあるが、「聖なる帯」を保管する礼拝堂を前に、いつも柵向こうの暗闇を覗くだけであった。礼拝堂には美しいフレスコ画があるものの、通常、礼拝堂には懺悔をする信者のみしか入ることができないからだ。
しかし、リクエストをすれば有料で見学ができるのだ。ということで、3月初旬、リクエストをくださったお客様とともに勇んでプラートへ向かった。
教会の左手にある聖なる帯礼拝堂にパッと灯りがつくと、あまりの美しさに小さく感嘆の声がでた。
礼拝堂ツアーで「聖なる帯」は実際に見ることはできないが、礼拝堂に描かれたアーニョロ・ガッディのフレスコ画を直近で見ることができる。なんという福眼!
パステル調の美しいフレスコ画は聖母の物語と聖なる帯の物語。聖母誕生から始まり、聖母がお眠りになり天に召されると、聖母の被昇天を信じない使徒聖トマスに聖母から天から帯を与えるというシーンでクライマックスとなる。その大事なシーンのフレスコ画は「聖なる帯」以外の聖遺物を入れる棚を作った為に、一部破損している。残念なことだ。
次に、この「聖なる帯」がどのようにプラートにやってきたかの物語に続く。14世紀末のプラートの町が見えている。フレスコ画にも描かれているように、私たちもプラートの街中に来た際にビゼンツォ川が流れる橋を渡って城壁の中へ入って来た。と思うと、感慨深い。
最後に、「聖なる帯」を公開する際に使用する通路を通って教会内部を高みから鑑賞できる。通路は礼拝堂から階段を登り、教会のファサードの裏面(教会内部側)にあるバルコニーに通ずる。さらに先に進むと、ファサードに設置されている説教台へ続くのだ。
とても贅沢なひと時であった。
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