モンテシエペ礼拝堂のフレスコ画。
3月25日は、『受胎告知』の日。大天使ガブリエルが乙女マリア様に『おめでとう、恵まれた方。主はあなたと共におられます』と告げに来た日である。
『受胎告知』をモチーフとした絵は多い。個人的には、フラ・アンジェリコによるサン・マルコ美術館のものが一番好き
この『受胎告知』は、両手を胸に当てお告げを恭しく受け入れているマリア様が描かれている。フラ・アンジェリコはドメニコ派の修道院に、経済的理由からではなく、自らの意思で入信した人なので、そんな彼が描いた『受胎告知』には神の言葉に従順なマリア様を選んだのが納得できる。
ウフィッツィ美術館のシモーネ・マルティーニによる『受胎告知』もお気に入り。
これは、突然現れた見知らぬ大天使ガブリエルに、『いやん、あんた誰?』みたいな驚きのマリア様が特徴である。
『受胎告知』をモチーフにした絵は、告知を受けたマリア様のどのような感情を表しているかで色々と異なるのだが、先日、面白いマリア様を見つけた。
かなり損傷がひどいが、これは屋根がないことで知られる聖ガルガーノ修道院の隣にあるモンテシエペ礼拝堂のフレスコ画である。1340年ぐらいに、アンブロージョ・ロレンツェッティによって描かれた『受胎告知』。
フラ・アンジェリコの『受胎告知』と同じく、お告げを聞き入れるフツーのマリア様に見えるがね、実はこのマリア様はロレンツェッティの原案ではなく、書き替えられたものである。
では、オリジナルはどうだったのか?シノピエ(下書き)で見てみよう。
わかりますかね?なんと!マリア様、大天使ガブリエルが急に現れたので驚きのあまり柱につかまってますねん!いやいや、ダメでしょ、これ?っつーことで、フツーのマリア様が上書きされたわけである。こんなマリア様のフレスコ画が残っていたら、面白かったのに・・・。
ちなみに、モンテシエペ礼拝堂にはアンブロージョ作の『荘厳の聖母』もあって、この聖母は3つの腕を持つんだね。
イエスを抱く両手に加え、右手に杖も持ってたりする。(わかりにくいけど)
そして、聖母子の下に寝そべっている女はエヴァ。罪の始まり(エヴァ)と、罪の終わり(イエス)である。
アンブロージョは、絵がそれほど上手いとは思わないけれど、シエナの市庁舎の『善政と悪政の寓話』など意味深な絵を描くのが上手い画家である。
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