サンジミニャーノの鞄屋で。
フィレンツェをはじめとし、トスカーナ地方は革製品で有名である。
なぜ有名なのか?それは、なめし技術が優れているということらしい。
フィレンツェからピサにかけてのアルノ川沿いの地域には、イタリア全生産数の35%のシェアを占めるなめし革企業が存在する。
皮をなめすとは、どういうことか?
動物の皮を、なめし剤を使用してタンパク質コラーゲンと結合させて、皮の繊維や組織を腐食から守り 柔軟性、耐水性、耐熱性、多孔性などに優れた素材にする工程をいう。
使用されるなめし剤は、3種類。
1)タンニンなめし
従来のなめし剤として、植物のタンニンを使用する方法。
2)クロムなめし
技術が発達するに従い、なめし剤に塩基性硫酸クロム塩を使用する方法も生まれた。
3)混合なめし
植物なめしとクロムなめしを混合させた方法。
(社団法人日本タンナーズ協会のHPを参考)
フィレンツェからピサへのアルノ川の地域は、タンニンを多く含む栗林が豊富な上、作業に必要となる水もアルノ川から供給できるということで、昔からなめし工場が発達した。
このような経緯で、トスカーナ地方は革製品が特産品となった。
今まで、皮=なめし前、革=なめし後、の違いさえ知らなかった・・・。日本語ってムズカシイ・・・。
そんなトスカーナはサン・ジミニャーノの鞄屋さんで一目惚れした鞄をご紹介したいと思うのだ!
サン・ジミニャーノはいつ訪れても素敵な町だ。
昨年後半からずっと鞄を買いたいと思っていた私。愛用していたデカトロンのビニールのリュックも酷使したためとうとう潰れ、今まで持っていたほかの鞄にデジイチとiPadを詰め込み、はみ出しながら持ち歩いていたものの、そろそろ格好悪いということで鞄を探すことに。
革か、布か、悩んだ挙句、せっかくトスカーナにいるんだから!と革に決定。
フィレンツェには革製鞄を売る店がたくさんある。
革のことはちっともわからないが、とにかくまずは好きなデザインを探すことから・・・。そのあとで、質を見ることにした。(質って言っても、柔らかいとかぐらいだけれど)
そこで出会ったのが、サン・ジミニャーノの鞄屋であった。
一目惚れしたけれど安い買い物ではないからして、町を訪れる度に会いに行っては考えに考えた挙句、購入することに。
柔らかい子牛の皮で、サフラン色も気に入った。お値段は本来129ユーロのことろ、少しおまけしてもらった。
中もポケットが多く、便利。
商品も気に入ったが、さらに好感が持てたのが店主たちである。
写真を撮らせてとお願いすると、ものすごく照れくさそうにポーズを取ってくれた。
写真のお二人と、お二人の奥様の合計4名でお店を経営されている。全員が幼馴染だそうで、店内に飾られている11歳ごろに撮った4名の写真に、ほのぼのする。
商品の説明を聞きながら、店内の写真も撮らせてもらった。
男性用も女性用も、豊富な種類が揃っている。
商品のデザインはオリジナルも多い。上述したなめし工場のある地区の革のみ使用し、イタリア人の職人さんに仕上げてもらうのだそう。
「イタリアにはこんなにいい職人がいるのに、その人たちにお願いせずにどうする!それでも、ときどき間違って作ってくることもあるんだ。そんなときは、ちゃんと一から説明して作り直す。鞄の形と革の質の相性も大切だしね。」と熱く語ってくれた。
それは当たり前のことかもしれないけれど、お手ごろ価格でいいものを生むには必要なことであろう。そして、イタリア製というものへのこだわりはイタリア人だから当然なこと。最近、イケアでさえ、脱中国製をし、イタリア製を使用しているという。高くても困るが、安いだけでは消費者も納得しない。
商品ももちろん気に入ったが、気さくな店主の暖かさは、何よりも「安心して買える」という信頼性の保障付。
鞄を買い、世界チャンピオンのジェラート屋でミント味のジェラートを食べ、よい一日でございました。
ご紹介した鞄屋はサン・ジョヴァンニ門からチスティルナ広場へのメインストリートにあります。
Le Torri
Via San Giovanni 22-24, San gimignano, Siena
ブログランキングに参加しています。よろしければ、応援クリックお願い致します。