ヴェネツィア逍遥

6月のヴェネツィア

6月のヴェネツィア

ヴェネツィアのサンタ・ルチア駅を出て出会う景色は、「息を呑む」という表現がぴったりな唯一無二の風景だ。

私が最初にヴェネツィアを訪れたのは30年ほど昔、学生時代のバックパッカー旅。車窓からサンタ・ルチア駅へと、海に挟まれた路線を電車が走る様子にテンションが上がったものだ。そして駅を出てこの景色を見た、あの夏の日の感動は今も忘れない。

ヴェネツィアの運河

それから時が過ぎ、叔母や母と一緒にヴェネツィアを再訪する機会を得た。目に入る景色は独特で魅力的であるものの、道を間違えずに案内せねばというプレッシャーの方が大きくて町を楽しむ余裕はなかった。

それが今回はひょんなことからヴェネツィア行きの話が舞い降りた。朝の電車でサンタ・ルチア駅に到着し用事を済ませ、あとは念願の一人ヴェネツィア逍遥。

ヴェネツィアのゴンドラ

こんなにも小運河が多かったっけ?

水の煌きの美しいことよ!ゴンドラが行き交うたびに生まれるさざ波で煌めく水面を見ていると、オッフェンバックのホフマンの舟歌が脳裏に流れた。この舟歌を日本で聞いたときはヴェネツィアを意識することはなかったが、彼の地に立つとあの曲が、夢心地のヴェネツィアを上手に表現しているのがわかる。

ヴェネツィアの建物

古寂びた家もなんと魅力的でしょう。建物の色、窓の形、トスカーナとの違いに旅を感じる。たまには違うものを見るって刺激的。旅を仕事にしていると、同じ場所へ行けば行くほど気づきが増えて仕事に深みが出てくるが、高揚感が薄れていく。鈍くなった感覚を研ぎ澄ませるため、たまには全く異なる場所に旅をするのが良い。

ヴェニスに死す

「ヴェニスに死す」の舞台となった一角は、陽の光が眩しくて、密かにコレラが蔓延しゆっくりと死へ向かうヴェニスとは全く趣を異にしている。それでもあの映画が大好きな私にはヴェネツィアで必須の訪問先。

カナレ・グランデ

カナレ・グランデを眺むリアルト橋からの景色は壮観である。ヴェネツィアに来た!と思わせてくれる。

ゴンドラ値段表

その昔(随分昔のこと!)、ゴンドラはサン・マルコ広場の舟着き場とあと2箇所ぐらいでしか正式な乗り場がなかった気がするし、それ以外で乗るとぼったくられるという噂もあった。しかし、今回、小運河に架かる橋のあちらこちらでゴンドラ乗り場を見かけた。1人から5人乗りで約30分間80ユーロ、夜7時から朝8時までは100ユーロと書かれた看板が掲げられていた。

バーカロ

今回は時間に余裕がなかったが、次回はゆっくりとバーカロなる地元の一杯飲み屋でワインとおつまみを楽しみたい。そうそう、ヴェネツィアはカクテル「スプリッツ」の発祥の地で、夕方になると多くの人々がヴェネツィア名物カクテルを楽しんでいた。中心地から少し離れた場所だとお値段も安い。フィレンツェでスプリッツというとオレンジ色をよく見かけるのだが、ヴェネツィアでは赤色が多かった。あとで調べてみると、スプリッツの材料となるリキュールにアペロールを使用するとオレンジっぽくなるが、ヴェネツィアのオリジナルであるビッター「セレクト」ならば赤が強調される。なるほど、次回はぜひ、「セレクト」を使ったスプリッツを飲んでみたい。

ヴェネツィア

海面、ゴンドラ、向こう島が水平を成し、そこに垂直に伸びる鐘楼、棒くいとゴンドラの船首、自然の幾何学模様もまたヴェネツィアらしい風景だ。

ヴェネツィアは一度は訪れるべき町である。イタリア旅行の最後に行くのが良いかも知れない。というのも、いつまでもヴェネツィアの風景が心に残り全ての感動をかっさらっていく恐れがあるからだ・・・。現に、1週間以上経った今も私はヴェネツィアに心を奪われている。

ヴェネツィアでライブ配信をしたので、よろしければご覧下さい。

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