ヴェネツィアのアカデミア美術館
1か月ほど前に訪れたヴェネチアの思い出が未だに私の中で残っているのだが、先日、息子もヴェネツィアを訪れた。なぜならイタリア国鉄がTour in Italiaという名前で販売している、まるで青春18きっぷのような存在の3日間周遊チケットを購入したためだ。チケット代は、3日間で29ユーロ、5日間で49ユーロで、特急以外は乗り放題となる。ただし、チンクエテッレは除外。
というわけで、息子の3日間の青春が始まった。
1日目はヴェネツィアを選択。
何があるの?と聞かれ、町自体が綺麗で美術館一つ選ぶならばアカデミア美術館かなと助言したものの、芸術に全く興味のない息子は行かないだろうと思っていた。君たちは無料だからとりあえず見れば?とは言ってみたけれど・・・。
そしたら、「今、アカデミア美術館にいる」とメッセージが!しかも「Figo! めっちゃエエ!」ときた。友人が興味があるので入ったという。そうなんよ!ヴェネツィアのアカデミア美術館もめちゃエエんよ!
美術館の写真は前回の私のヴェネツィア一人旅から。
ヴェネツィアのアカデミア美術館では、53人の登場人物が描かれたヴェロネーゼの「レヴィ家の晩餐」の圧倒的な大きさにヴェネツィアの偉大さを感じ、カーニヴァルを思わせるド派手な饗宴の中にも福音書の教えが隠されているというヴェローゼの技法に感心する。この絵と対をなすようにある「カナの婚礼」が(2つの絵は別々の教会のために描かれているが)、ナポレオンによってフランスに持ち去られたのが悔やまれる。ここで2枚とも観たかった!
パオロ・ヴェロネーゼによる「レパントの海戦」も、これまたヴェネツィアらしい題材である。この戦いにはトスカーナ大公国も船出してんだよね〜。
意味深なロレンツォ・ロットの「若い紳士の肖像画」。ロットの肖像画は意味深で謎解きみたいで本当に面白い。
この地でピエロ・デッラ・フランチェスカに出会うとは!
ダイナミックなティントレットも満喫。ティツィアーノ、ティントレットと、次々とヴェネツィアを代表する画家の作品に出会い、感無量。
私がヴェネツィアで一番会いたかったのは、ジョルジョーネの「嵐」。嵐の前のあの空の色をこの目で見たかった。不思議なモチーフの絵であるが、期待通りの美しい空の色だった。
息子に「忘れずにこれを見よ!」とメッセージしたら、「有名!あまりにも有名!」と返事が。どうやら学校の美術の授業でこの絵についてしっかりとした説明があったようで、美術の授業嫌いの息子でさえこの絵の存在は知っていた。
そしてヴェネツィアといえば、ジョヴァンニ・ベッリーニ。好きな画家ではなかったが、ヴェネツィアに来てその良さに気づいた。彼の描く聖母のなんと純粋なことよ。
それでミーハーな私は、次回のヴェネツィア旅行では画家の描く空の色から名付けられた夏のカクテル「ベッリーニ」を飲みたくなったのである。
ヴェネツィアでは聖ザカリア教会もおすすめだ。ヴェネツィアの青い空の下、白が映えるルネサンス風のファサードを持つ教会である。半円の形が可愛らしい。
期待以上に素晴らしかった!ベッリーニの手による絵画は中心の聖母子だけだが、これほどに壮大な装飾があるとは思わなかった。さすが、洗礼者ヨハネの父ザカリアの聖遺物を保管している教会だけある。
ヴェネツィアにあるたくさんの教会を観て回りたいが、お昼の時間帯は休館が多く、フィレンツェ発着の1日旅行だと上手く予定を立てないといけない。
Chiesa di San Zaccaria
月曜〜土曜:10時-12時、16時-18時
日曜:16時-18時、日曜ミサの時間:10時、 12時(観光不可)
息子から時々届くメッセージの写真と、数時間ごとに彼の居場所を携帯でチェックしながら、地図上でも再びヴェネツィア旅を楽しんだ。